【詳細】EU上級代表 “飢餓が武器として使われている”

イスラエル軍によるガザ地区への激しい攻撃は13日にかけても続き、住民の犠牲が増え続ける一方、ヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区などでもイスラエル側の作戦で死傷者が出ています。

イスラム教の断食月、ラマダンの期間中も続く一連の暴力に対し、反イスラエル感情が高まっていてさらなる事態の悪化への懸念が広がっています。


※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月13日の動きを随時更新してお伝えします。

EU上級代表 “飢餓が武器として使われている”

ガザ地区では13日にかけてもイスラエル軍が広い範囲で空爆などを行い、地元のメディアは住民数十人が死傷したとしているほか、食料などの支援を待つ住民がイスラエル軍の攻撃を受けて死亡する事態も相次いでいます。

こうした中、EUの外相にあたるボレル上級代表は12日「飢餓が武器として使われている」などとイスラエル側の対応を批判しました。

また、WFP=世界食糧計画は12日、安全確保ができないとして先月以降停止していたガザ地区北部への食料支援を再開し、中心都市のガザ市に2万5000人分の食料を届けたと発表しました。

そのうえで飢きんの瀬戸際にあるなどとして、継続的な食料の供給が必要だと訴えています。

ラマダン中も続く一連の暴力に事態悪化の懸念広がる

一方、イスラエル軍はヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区でも13日にかけて軍事作戦を行い、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、ジェニンにある病院でイスラエル側の発砲によって複数の死傷者が出たほか、東エルサレムでも12日、花火で遊んでいた13歳の少年が射殺されたなどとしています。

イスラム教徒にとって最も神聖な断食月、ラマダンの期間中も続く一連の暴力に対して反イスラエル感情が高まっていてさらなる事態の悪化への懸念が広がっています。

“子供の犠牲者数 4年間の世界の紛争地を上回る”

ガザ地区の支援を担っているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長はガザ地区で亡くなった子どもの数が、2月までの4か月間で、2022年までの4年間に世界の紛争地で亡くなった子どもの犠牲者数を上回ったと明らかにしました。

ラザリーニ事務局長は国連と、ガザ地区の保健当局からの情報をもとにした統計データなどを12日、SNSに投稿しました。

それによりますとガザ地区で去年10月から2月までの4か月間に亡くなった子どもの数は1万2300人以上にのぼるとしています。

これは、2019年から2022年までの4年間に世界の紛争地で死亡した子どもの数1万2193人を上回っていてラザリーニ事務局長は「この戦争は子どもたちに対する戦争であり、彼らの未来に対する戦争だ。ガザの子どもたちのために、今すぐ停戦が必要だ」と訴えています。

戦闘休止の交渉「合意には近づいていない」

行き詰まりをみせる戦闘休止の交渉について、仲介役を担ってきたカタール外務省の報道官は12日、会見で、「状況は複雑で、合意には近づいていない」としながらも、仲介の努力を続けていく考えを強調しました。

保健当局 “死者3万1184人に”

ガザ地区では12日もイスラエル軍による攻撃が続き、地元のメディアは北部のガザ市で子どもを含む7人が死亡するなど各地で多数の死傷者が出ていると伝えています。

地元の保健当局によりますとこれまでに死亡した人は3万1184人にのぼるということです。

イスラエル軍 ヒズボラと応酬続く

イスラエル軍はこのところ、隣国レバノンのヒズボラへの攻撃も強めていて、12日、過去5か月の間に4300以上のヒズボラの標的を攻撃し、300人以上の戦闘員を殺害したと発表しました。

これに対しヒズボラは12日、報復だとしてイスラエル軍の基地に向けて100発以上のロケット弾による攻撃を行ったことを明らかにしました。

イスラエルのメディアによりますと攻撃はこれまでで最大規模で、ロケット弾は撃ち落とされるなどしてけが人はいなかったということですが戦闘がさらに拡大しないか懸念されます。

ガザ地区で仮設のふ頭建設へ 米軍艦 出港

アメリカのバイデン政権は、食料不足などが深刻なガザ地区への支援物資の搬入を拡大しようと、浮き桟橋などでつくる仮設のふ頭を現地に建設し、海からの物資の搬入を目指しています。

12日、アメリカ南部バージニア州の軍の港では、仮設のふ頭の建設や運用に関わる艦船の出発式が行われました。

この中でアメリカ陸軍のミラー大佐が演説し「われわれは、この任務の重要性と世界における利益を理解している」と述べ、意義を強調しました。

艦船には建設に必要な機材が積み込まれ、兵士たちが家族に見送られながら、次々と乗り込んだあと、艦船は、汽笛を鳴らしながら、ゆっくりと港を出発しました。

アメリカ陸軍によりますと、今回、目的地のガザ地区の沖合に派遣されるのはおよそ500人で、到着までには最大で30日かかり、仮設のふ頭の運用開始は、およそ2か月後になる見通しだということです。

陸軍のヒンソン准将は「運用が完全に開始されれば1日に200万食以上の食料をガザ地区に提供できるようになり、兵士たちは、その日から人の命を救うことになる」と話しています。