政府系保険会社 貿易保険制度を拡充へ 供給網強じん化を後押し

ロシアによるウクライナ侵攻など地政学リスクが高まる中、政府系の保険会社「日本貿易保険」は、日本企業のサプライチェーン=供給網の強じん化を後押しするため、貿易保険の制度を拡充することになりました。

貿易保険は、海外と取り引きする日本企業が戦争や政情不安に伴って外国企業から代金の回収などができなくなった場合に、保険料に応じて発生した損失をカバーする制度です。

米中の対立やロシアによるウクライナ侵攻などで地政学リスクが高まる中、「日本貿易保険」は日本企業のサプライチェーンの強じん化を後押しするため、制度を拡充します。

具体的には、代金を前払いした貨物が日本に届かなかった場合に、損失をカバーする保険の対象を日本以外の国や地域にも広げます。

例えば、日本企業が資源国から購入したリチウムなどの重要鉱物が海外の日系メーカーの工場に届かなかった場合にも、保険金が支払われるようになります。

さらに、政情不安などのリスクがある国々にも輸出がしやすくなるよう、新たな保険を提供します。

現地企業の支払いを確約する「信用状」をもとに、日本の金融機関が一時的に支払いを立て替え、その後、回収できなくなった場合には損失をカバーします。

日本貿易保険の黒田篤郎社長は、「世界に広がる日本企業のサプライチェーンを途切れなくカバーすることで、取り引きの拡大を支援したい」と話しています。