岸田首相 次期戦闘機の第三国輸出認める際は閣議決定含め検討

イギリス・イタリアと共同開発を進めている次期戦闘機の第三国への輸出を認めるかどうかをめぐり、岸田総理大臣は公明党の山口代表に対し、政府として輸出を認める際には、厳格な意思決定のプロセスとして閣議決定をすることも含めて検討する考えを伝えました。

岸田総理大臣は12日、総理大臣官邸で公明党の山口代表と会談し、次期戦闘機など、他国と共同開発する防衛装備品の第三国への輸出をめぐり、意見を交わしました。

この中で、岸田総理大臣は与党間の協議で、対象を次期戦闘機に限ったうえで輸出先を絞るなどとする歯止めの案が検討されていることに関連し、政府として輸出を認める際には、厳格な意思決定のプロセスとして閣議決定をすることも含めて検討する考えを伝えました。

これに対し山口氏は「国会の審議を通じて自身のことばで国民に理解いただくよう説明してほしい」と求めました。

会談のあと山口氏は、記者団に対し「大きな方針が変わることについては国民の理解を得るために最終的に閣議決定を行うのは妥当な方向だと思う。閣議決定するとなれば与党の手続きが行われることになり、国民に情報を提供し、国会での議論の機会も得やすくなる」と述べました。

林官房長官「プロセスなど政府・与党間での検討進める」

林官房長官は、午後の記者会見で「閣議決定も含めたプロセスなど制度面のあり方についても引き続き政府・与党間での検討を進めていきたい。国民の理解を得ることは重要で政府の考えは国会での質疑も含め、丁寧に説明していく」と述べました。

木原防衛相「産業界全般への波及効果 期待できる」

木原防衛大臣は、衆議院安全保障委員会で「わが国の防衛に必要な、性能を有する機体を実現するためにも、第三国への直接移転を行える仕組みを持つことが、国際共同開発の成功に必要だ。また、さまざまな先端技術に投資するとともに優秀な人材が育成され、防衛産業はもとより産業界全般への波及効果が期待できる」と述べました。

また木原大臣は、およそ10年後を目指している配備までに、1か国当たり年間1000億円程度が必要で、このうち開発の司令塔となる機関の運営には年間数十億円程度が必要になるという見通しを示しました。

公明「拡大外交安全保障調査会」 政府担当者が歯止め案説明

公明党は12日、すべての議員を対象に「拡大外交安全保障調査会」の会合を開き、政府の担当者が、対象を次期戦闘機に限ったうえで輸出先を絞るなどとした歯止めの案について説明しました。

会合の後、調査会の事務局長を務める三浦信祐参議院議員は記者団に対し「議員の中で理解が進んできている。歯止めについて国民に対し説明する責任を果たせる内容か、さらに議論したい」と述べました。

公明党は、14日に改めて調査会の会合を開き、自民党との合意に向けて意見集約を図ることにしています。