参院予算委 公聴会 少子化対策や防衛力強化などで専門家が意見

参議院予算委員会は、新年度予算案に関して専門家から意見を聞く公聴会を開き、各党が推薦した専門家が少子化対策や防衛力強化などについて意見を述べました。

公明党が推薦した学習院大学経済学部教授の遠藤久夫氏は、少子化対策の財源となる支援金制度について「このために全く新しい仕組みを作ると社会的なコストがかかる。医療保険はすべての国民が入っていて最も適切だということで、支援金の原資を調達する枠組みとして選ばれたと理解している。医療保険は少子化が進むと維持が困難になるので支援金制度と親和性がある」と述べました。

立憲民主党と社民党が推薦した明治大学農学部専任教授の作山巧氏は、農業政策について「肥料などの輸入品と国内の食料品の価格が上昇し、農業生産者と消費者の両方が大きな打撃を受けている。生産者が価格転嫁して農作物の価格がさらに上昇すれば、所得の低い消費者に影響を与える。生産者の所得を補填(ほてん)するため政府からの直接支払いといった対策を取るべきだ」と述べました。

自民党が推薦した東京大学公共政策大学院客員教授の高見澤將林氏は、サイバー空間での情報収集について「各国がサイバー空間での情報収集に力を入れる中、日本はそういうことをやってこなかった。現状では日米同盟が前提となるが、アメリカからの情報がなければ何もできないということになってもいけない。独自情報の向上が必要で、あらゆる面を考慮した体制構築の検討が求められる」と指摘しました。

日本維新の会と教育無償化を実現する会が推薦した陸上自衛隊の元陸上総隊司令官の高田克樹氏は、防衛力強化について「無人の防衛能力はウクライナでの状況を見るまでもなく、早急に整備されるべき能力だ。自衛隊が運用するドローンの航空法など法律上の位置づけは民間事業者レベルであり、有事を想定したものになっていない。法整備を早急に進める必要がある」と述べました。