ロシア “外国の代理人”が広告を掲載することを禁止

ロシアで、外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定されている人物や団体が広告を掲載することを禁止する改正法が発効し、政権に批判的な言論への統制が一層強まっています。

改正された法律は11日、プーチン大統領が署名し、発効しました。

法務省によって「外国の代理人」に指定されている人物や団体がほかの個人や団体の広告を掲載したり、メディアが「代理人」の広告を掲載したりすることが禁止され、違反した場合は、罰金や刑事罰が科されます。

これによって「代理人」が広告収入を得ることができなくなるとともに、メディアやインターネットなどを通じて「代理人」に関する情報を広めることは大きく制限されます。

ロシアでは、政権の意向に沿わない個人や団体が次々と「外国の代理人」に指定されていて、言論統制が一層強まっています。

またタス通信は、ロシアの治安当局が韓国人の男性をスパイ容疑でロシア極東のウラジオストクで拘束し、今後の捜査のためモスクワに移送したと伝えました。

ロシアでスパイ容疑で韓国人が拘束されるのは初めてだとしていて、ことし初めスパイ事件の捜査中に男性を拘束し、モスクワの裁判所は11日、6月中旬まで拘束を延長することを決めたということです。

ロシア政府は、ロシアに対し制裁措置を行っているとして韓国を日本などとともに「非友好的な国」に指定しています。

“拘束の韓国人は脱北者支援の宣教師” 韓国通信社

韓国の通信社、連合ニュースは、ロシアの治安当局にスパイ容疑で拘束された韓国人の男性が、ロシア極東地域で脱北者の支援活動を行っていた宣教師であることがわかったと報じました。

連合ニュースは、ロシアと北朝鮮が関係を強化する中で、ロシア極東では脱北者支援への制約が厳しくなっているという見方があると伝えたうえで、専門家の話として「北朝鮮に関する事案については、今後もロシアで韓国側の支援団体などが制約を受ける可能性がある」と報じています。

北朝鮮に対して厳しい姿勢を示す韓国に対し、ロシアはこれまで「露骨な偏向だ」などと非難していて、連合ニュースは、今回の韓国人男性の拘束が、両国関係にさらなる悪影響を与えるおそれがあると指摘しています。

一方、韓国外務省の報道官は、12日の記者会見で「男性が拘束された事実を把握した直後から必要な対応をとっている。韓国国民が一日も早く家族のもとに戻ってくることを期待し、そのためにロシア側と必要な意思疎通をしている」と述べるにとどまり、詳しい説明を避けました。