ブータン首相「幸福は経済と切り離して手に入れられない」

「幸せの国」として知られるヒマラヤの王国、ブータンのトブゲイ首相がNHKの単独インタビューに応じ、「幸福は経済と切り離して手に入れることはできない」と述べ、国民の精神的な豊かさを重視しながらも、厳しい状況が続く経済の立て直しに最優先で取り組む姿勢を強調しました。

国民の精神的な豊かさを重視するGNH=国民総幸福という独自の理念に基づいた国づくりを進めてきたブータンでは、ことし1月の議会選挙で5年ぶりに政権が交代し、ツェリン・トブゲイ首相が新たに就任しました。

トブゲイ首相は今月9日首都ティンプーで、就任後海外メディアとしては初めてNHKの単独インタビューに応じました。

このなかでトブゲイ首相は、コロナ禍後も海外からの旅行客が戻らず、主要産業の観光が打撃を受けるなど厳しい経済状況が続いているという認識を示しました。

そのうえで「幸福は経済と切り離して手に入れることはできない。国民の繁栄と福祉のためには経済成長が必要だ」と述べ、国民の精神的な豊かさを重視しながらも、国内経済の立て直しに最優先で取り組む姿勢を強調しました。

具体的な政策として、ブータン南部で進めている国際空港や鉄道、水力発電用のダムなどを含む大規模な新都市の整備計画をあげ、海外からの投資を誘致する考えを示しました。

トブゲイ首相は「持続可能な発展のため、とりわけ日本企業の進出を歓迎したい」と述べ、再生可能エネルギーなどの分野で日本からの投資に期待を示しました。