ガザ地区でラマダン始まる EUは食料輸送計画も厳しい状況続く

激しい戦闘が続くガザ地区では、戦闘休止の見通しが立たない中、11日、イスラム教の断食月、ラマダンが始まりました。EU=ヨーロッパ連合などはガザ地区で食料不足の改善を目指して海からの物資の輸送を計画していますが、すでに20人以上が栄養失調で亡くなるなど厳しい状況が続いています。

ガザ地区では11日、イスラム教徒が日中の飲食を断つ最も神聖な月のラマダンが始まりました。

イスラエルとイスラム組織ハマスとの交渉をめぐって仲介国のカタールとエジプトなどは、ラマダンまでに戦闘休止や人質の解放などをめぐる合意の実現を目指していましたが、双方の立場の隔たりが大きく交渉はまとまりませんでした。

これについてロイター通信は10日、エジプトが双方への働きかけを続けていると伝えていますが、戦闘休止の見通しは依然として立っていません。

一方、ガザ地区では、10日もイスラエル軍による攻撃が続き、地元の保健当局はこれまでに3万1045人が死亡したほか、食料などの物資の不足によって栄養失調と脱水症状で亡くなった人は25人に上ると明らかにしました。

食料不足の状況を改善させようと、EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長がガザ地区に向けて海からの物資の輸送を始める方針を示したことを受けて、地中海の島国キプロスでは支援団体の船が出港の準備を進めているものとみられます。

食料を輸送する支援団体によりますと、この船には200トンの食料を積んでいるということです。

ただ、食料事情の改善には程遠い状況で、戦闘休止の見通しが依然として立たない中、人道状況はさらに厳しくなり、対応が急がれています。

バイデン大統領 戦闘休止の早期実現を目指す考え

アメリカのバイデン大統領は10日、声明を出し「ことし、聖なる月は計り知れない苦しみのときに到来する。ガザ地区での戦闘はパレスチナの人々をひどく苦しめてきた」として、パレスチナの人たちに寄り添う姿勢をアピールしました。

そのうえで「アメリカは引き続き、ガザ地区に陸、空、そして海からより多くの人道支援物資を届けられるよう国際社会の取り組みを主導していく」としています。

さらにバイデン大統領は「アメリカは、人質解放に向けた交渉の一環として、少なくとも6週間の即時かつ持続的な戦闘の休止を目指し取り組んでいく」として、早期の戦闘休止の実現を目指していく考えを強調しました。