パリパラリンピック競泳 南井瑛翔など新たに11人が代表内定

競泳のパリパラリンピックの代表に、いずれもアジア記録保持者の南井瑛翔選手や芹澤美希香選手など新たに11人が内定しました。

日本パラ水泳連盟と日本知的障害者水泳連盟は10日、選考委員会を開いて、これまでに代表に内定した7人のほかに新たに11人の内定を発表しました。

運動機能障害のクラスは10日、静岡県で開かれた代表選考会となる大会の男子200メートル個人メドレーで、アジア記録をマークした21歳の南井選手のほか、初のパラリンピックとなる19歳の田中映伍選手とライバルの18歳、日向楓選手がそろって代表に内定しました。

また、知的障害のクラスは去年10月、中国・杭州で開かれたアジアパラ大会でアジア記録を更新し、金メダルを獲得した23歳の芹澤選手のほか、視覚障害のクラスは4大会連続の出場となる小野智華子選手や36歳の石浦智美選手なども内定しました。

このほか、15歳の川渕大耀選手や17歳の福田果音選手など4人が保留扱いとなり、今後、障害の程度を決める「クラス分け」を受けるなどパリパラリンピックの出場の資格を満たせば代表に内定するということです。

【新たに代表内定の11人は】

石浦智美選手

新潟県上越市出身の36歳。視覚障害が最も重いクラスです。先天性の緑内障で視力が徐々に低下し、現在は両目ともわずかに光を感じる程度です。

医師の勧めで2歳から水泳を始め、10歳からは本格的に競技に取り組み始めました。リオデジャネイロパラリンピックの選考会ではわずかに派遣基準に届かず、代表を逃していました。眼圧を下げる目薬の影響もあり、レース後半までスタミナが続きませんでしたが、東京パラリンピックの2年前に手術に踏み切ってスタミナ面の課題を克服し、初のパラリンピックとなる東京大会に出場しました。その後、呼吸方法の改善や力強いキックを武器にタイムを伸ばし、去年10月、中国・杭州で行われたアジアパラ大会では100メートル自由形で1分9秒97の日本記録をマークし、4位に入りました。

パラリンピックは2大会連続の出場です。

荻原虎太郎選手

千葉市出身の21歳。運動機能障害の10クラスのうち、8番目に障害が重いクラスです。生まれたときから右肩に骨のがん「軟骨肉腫」があり、4歳で摘出したため、右肩と右足に障害があります。

片腕でもできてけがをしにくいからと、5歳からスイミングスクールに通い始め中学生でパラ競泳に転向しました。力強いキックを生かした後半の伸びを持ち味に、初のパラリンピックとなった東京大会では200メートル個人メドレーで、みずからが持つ日本記録を更新するタイムをマークしたものの、決勝進出は逃しました。その後、順天堂大学で練習を積み、去年の世界選手権では200メートル個人メドレーで得意の背泳ぎでスピードに乗ってみずからの日本記録を更新し、5位でした。

パラリンピックは2大会連続の出場です。

小野智華子選手

北海道帯広市出身の29歳。低体重で生まれ、両目の視力がなく、視覚障害が最も重いクラスです。

小学生で本格的に水泳を始め、高校3年生の時にロンドンパラリンピックに初出場しました。背泳ぎを得意としていて、東京大会の前は腰のけがの影響でコンディンションの調整に苦しみ、3大会連続となった東京大会では個人3種目いずれも決勝には進めませんでした。その後、パリパラリンピックでの記録更新を目指し泳ぎを見直すなど強化を進め、おととしの世界選手権では100メートル背泳ぎで金メダルを獲得しました。

パラリンピックは4大会連続の出場となります。

芹澤美希香選手

横浜市出身の23歳。知的障害のクラスです。

小学校に入ってから水泳を始め、柔らかい足首を使ったコンパクトでむだのないキックで推進力を生み出す平泳ぎを得意としていて、初めてのパラリンピックとなった東京大会では100メートル平泳ぎで7位でした。その後、積極的な泳ぎに磨きをかけ、去年10月、中国の杭州で行われたアジアパラ大会ではアジア新記録をマークして金メダルを獲得するなど著しい成長を見せています。

パラリンピックは2大会連続の出場です。

田中映伍選手

神奈川県茅ヶ崎市出身の19歳。生まれた時から両腕がなく、運動機能障害の10クラスのうち5番目に障害が重いクラスです。

幼少期からサッカーやサーフィンなどのスポーツに親しみ、中学生の時、本格的にパラ競泳に打ち込みました。田中選手の1学年下で、東京パラリンピックに出場した同じ運動機能障害のクラスの日向楓選手の背中を追って、前半から積極的に仕掛ける泳ぎやテンポの速い独自のキックを磨いてきました。去年の世界選手権では男子50メートル自由形の予選で日向選手の持つ日本記録を更新するなど競いながらも高め合い、成長してきました。

パラリンピックは初めての出場です。

西田杏選手

埼玉県所沢市出身の27歳。生まれた時から右足と左腕が短く、ふだんは義足を使って生活していて、運動機能障害の10のクラスのうち、7番目に障害が重いクラスです。

小学生の時から水泳を始め、専門とする種目はバタフライです。2018年の国際ルールの改正でフォームの変更を余儀なくされ、一時、日本代表から遠ざかっていましたが、弱点となっていた短い左腕を筋力トレーニングで徹底的に鍛え上げ、両腕を使った泳ぎを磨き、初のパラリンピックとなった東京大会では50メートルバタフライで8位でした。

その後、パリパラリンピックを競技の集大成と位置づけ、スプリント力の強化に励んできました。

日向楓選手

横浜市出身の18歳。運動機能障害の10クラスのうち5番目に障害が重いクラスです。生まれたときから右腕は10センチ程で左腕はありません。

兄の影響で小学1年生の時に水泳を始めました。柔軟性と体幹の強さを生かした泳ぎは強いキック力を持ち味で、初めてのパラリンピックとなった東京大会では50メートルバタフライで7位でした。ライバル関係にある運動機能障害の同じクラスで1学年上の田中映伍選手と2人で競い合いながら成長してきました。

パラリンピックは2大会連続の出場となります。

福井香澄選手

滋賀県野洲市出身の25歳。知的障害のクラスです。

高校生から本格的に競技として水泳に取り組み始めました。姿勢が崩れないきれいなフォームが強みで、2018年のアジアパラ大会では得意とする100メートル背泳ぎで金メダルを獲得しています。そして、初めてのパラリンピックとなった東京大会では7位でした。

パラリンピックは2大会連続の出場です。

南井瑛翔選手

滋賀県守山市出身の21歳。生まれた時から左足首から先がなく、運動機能障害が最も軽いクラスです。

5歳から水泳を始め、中学3年生からパラ競泳に取り組みました。競泳の強豪、近畿大学で練習に励み、前半から積極的に仕掛ける泳ぎでバタフライを得意としていますが、東京パラリンピックは個人種目2種目で決勝には進めませんでした。その後、陸上トレーニングやスタミナ強化を進め、去年、中国の杭州で行われたアジアパラ大会、200メートル個人メドレーではアジア新記録をマークして金メダルを獲得するなど着実に成長を遂げてきました。

村上舜也選手

東京都出身の29歳。知的障害のクラスです。

5歳のときに母親に勧められて水泳を始めました。身長1メートル83センチと体の大きさを生かしたダイナミックな泳ぎを強みに、自由形とバタフライを得意としています。去年の世界選手権では混合400メートルメドレーリレーのアンカーとして日本の4位に貢献しました。

パラリンピックは初めての出場です。

由井真緒里選手

前橋市出身の21歳。運動機能障害の10クラスのうち5番目に障害が重いクラスです。「ラーセン症候群」という病気の合併症の影響で腰から下が動かず、リハビリの一環として小学1年生から水泳を始めました。

パラリンピックの金メダリストを育てたコーチに誘われて小学5年生から本格的に競技を始め、長い腕を生かした水をかくキャッチ動作を強みに、中距離種目を得意としています。2019年の5月にはより障害が重いクラスに変更になりました。初めてのパラリンピックとなった東京大会では個人種目は4種目に出場し、200メートル自由形と200メートル個人メドレーで6位でした。その後、後半のスピード維持を目指して泳ぎを見直したほか、体力面のトレーニングなど強化を進めてきました。

パラリンピックは2大会連続の出場です。