ガザ地区 イスラエルの空爆で死傷者 ラマダン前も状況改善せず

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くガザ地区では、10日にかけてもイスラエル軍による空爆で死傷者が出ていて、イスラム教徒にとって最も神聖な断食月ラマダンの開始を間近に控えながらも、現地の深刻な状況は改善されていません。

ガザ地区では10日にかけてもイスラエル軍による激しい空爆などが続いていて、地元のメディアは北部のベイトラヒヤや南部のハンユニスなどで複数の死傷者が出ていると伝えています。

また、北部では支援物資を待つ住民に再びイスラエル軍が発砲し、複数の死傷者が出ているということです。

地元の保健当局は10日、これまでに3万1045人が死亡し、戦闘に加え、食料などの物資の不足によって、新たに生後2か月の赤ちゃんと20歳の女性の2人が栄養失調と脱水症状のために死亡したと発表しました。

一方、難航している戦闘の休止と人質の解放をめぐる交渉について、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは、10日夜にも発表されるイスラム教の断食月ラマダンの開始にあわせて、まずは2日間の戦闘休止で合意できないか、アラブ諸国が仲介を続けていると伝えています。

ただ、ハマス側が一貫して持続的な停戦を求めているのに対し、イスラエル側はこれを拒絶していて、交渉がまとまる見通しは依然立っていません。

イスラム教徒にとって最も神聖なラマダンの間もガザ地区で戦闘が続き、食料不足などがさらに深刻化すれば、パレスチナをはじめ、中東各地で反イスラエル感情が一層高まり、ヨルダン川西岸などで大規模な衝突に発展することも懸念されます。