珠洲市では地震のあと、2か月余りにわたり、ほぼ全域のおよそ4650戸で断水が続いていましたが、10日から順次、中心部の110戸余りで上下水道が使えるようになります。
このうち、上戸町の初鳥進也さんの理容店では2月から、水を使わないカットだけを行ってきましたが、10日からシャンプーや顔そりなども含めた通常どおりの営業ができるようになりました。
10日は地震のあと初めて髪を切るという顔なじみの大学生と高校生のきょうだいが店を訪れました。
2人はのびていた髪を短く切り、仕上げにシャンプーをして髪を整えると、すっきりした表情を見せていました。
高校生の弟は「気持ちよかったです。仮設の風呂などを利用していますが、髪を洗う時間が限られるので、しっかり洗うことができたのは久しぶりでした」と話していました。
理容店の初鳥さんは「水が出ることで、やっとふだんどおりの仕事ができるようになりました。提供できるサービスが増えてうれしいです」と話していました。
珠洲市によりますと、全域での断水解消はことし5月になる見通しですが、できるかぎり前倒ししたいとしています。
石川 珠洲 一部の地域で断水が解消 理容店では通常営業可能に
能登半島地震により、ほぼ全域で断水が続いていた石川県珠洲市の一部の地域では10日から断水が解消し、理容店では水を使ったシャンプーなども含め、通常どおりの営業ができるようになりました。
30人余が避難生活の小学校でも断水解消
30人余りが避難生活を続けている珠洲市の上戸小学校でも10日に断水が解消されました。
10日は復旧作業にあたっている名古屋市上下水道局の職員などが訪れ、蛇口をひねって水が出ることを確かめていました。
避難を続けている71歳の藤部富子さんは、蛇口から水が出ると、ほっとしたような表情を見せ、「限られた水を少しずつ使いながら生活していたので、水が出ないことは私たちにとって大きな試練でした。本当にうれしいです」と話していました。
名古屋市上下水道局の職員で、珠洲市の水道復旧隊の神谷隆行隊長は「市民の方の喜んでいる顔を見て、復旧できていない地域についても少しでも早く進めていく必要があると改めて感じました」と話していました。
まだ断水が解消されない地域も 焼酎の蔵元では
一方で、まだ断水が解消されていない地域も多く残されています。
昭和22年に創業した珠洲市野々江町にある焼酎の蔵元では断水で瓶の洗浄ができず、地震があった元日以降、焼酎の瓶詰作業ができない状況が続いています。
この蔵元は震度6強を観測した去年5月の地震でも敷地内の配管が壊れて断水し、復旧作業をへて、およそ1か月後に製造を再開していました。
能登半島地震がなければことし1月に新たな設備を導入し、3月から仕込みを行う予定でしたが、現在は地震の被害を免れた在庫を出荷して営業を続けています。
この日も従業員が商品の箱詰めを行っていて、在庫は大型連休までには底をつく見通しだということです。
日本醗酵化成の藤野浩史社長は「瓶詰作業をいつ再開できるのか見通しが立たず不安ですし、敷地内の配管が壊れたのも含めて、地震による断水はおととしと去年に続いて3回目で、事業をこのまま継続するかどうかについても悩んでいます。タンクに貯蔵して無事だった焼酎をお客さんに届けたいので、一日でも早く復旧してほしいという思いです」と話していました。
(8日時点)能登地方中心に 約1万6730戸で断水
石川県によりますと、能登半島地震の発生直後、県内ではおよそ11万戸で断水が確認され、徐々に復旧が進んでいますが、8日時点でも依然として能登地方を中心におよそ1万6730戸が断水しているということです。
自治体別でみると、
▽珠洲市がおよそ4650戸とほぼ全域で断水していました。
このほか、
▽輪島市がおよそ5550戸
▽七尾市がおよそ3500戸
▽能登町がおよそ2830戸
▽内灘町がおよそ200戸です。