ウクライナ“ザポリージャ原発 事故に向かっている”

ウクライナ南部のヘルソン州ではロシア軍による攻撃で集合住宅などが破壊され、少なくとも2人が死亡するなど市民の犠牲が続いています。こうした中、ロシアが占拠する南部ザポリージャ原子力発電所の安全性について、ウクライナ側は「事故に向かって進んでいる」と強い懸念を示し、ロシア側が撤退する必要性を改めて強調しました。

ウクライナ軍は、8日から9日にかけてロシアの無人機15機による攻撃が東部などにあり、このうち12機を撃墜したと発表しました。

また、南部ヘルソン州では、地元の知事によりますと、ロシア側からの空爆で集合住宅や医療施設などが破壊され、少なくとも2人が死亡し、子ども1人を含む2人がけがをしたということで市民の犠牲が続いています。

こうした中、ウクライナのハルシチェンコ・エネルギー相は8日、ウィーンで行われた会見で、ロシアが占拠する南部ザポリージャ原子力発電所の現状について、原子炉の冷却に必要な外部からの電力の供給が途絶える事態が繰り返し発生しているなどと指摘し、「問題の数は日々、増えるばかりだ」と強い懸念を示しました。

そのうえで「全体的な状況は原発事故へと向かっていて、ロシアの占拠を直ちに止めることが非常に重要だ」と述べ、ロシア側の撤退の必要性を改めて強調しました。

ザポリージャ原発をめぐっては、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」のトップが3月4日に、勤めていた職員が立ち入りを拒否されるなどして原発内に残ることができず、ロシア側が運営を担っているという認識を示しています。

また6日には、IAEA=国際原子力機関のトップ、グロッシ事務局長がロシアでプーチン大統領と会談し、ザポリージャ原発の安全確保に向けて協力を求めています。