東日本大震災での経験生かし復興目指す自治体職員 石川 能登

東日本大震災の発生から11日で13年となります。能登半島地震で大きな被害を受けた石川県能登町では東北の被災地に1年間派遣された職員が当時の人脈や経験を生かし、地元の復興に向けて業務にあたっています。

能登町総務課の山口竜次郎さん(47)は、能登半島地震の前は危機管理室で防災などを担当していましたが、現在は全国から寄せられる支援物資の管理などを担当しています。

山口さんは東日本大震災の翌年の2012年4月から1年間、被災地の宮城県亘理町に派遣されました。

ことし1月の地震のあと、能登町には宮城県や岩手県など東北の被災地の自治体から多くの職員が支援に入っていて、山口さんが派遣された亘理町の当時の同僚だった職員も給水の支援で訪れたといいます。

山口さんはその職員から受けたアドバイスをもとに、支援物資を管理する際は、短期的なニーズにとらわれず、長期的な視点から使いみちを考えるよう心がけています。

また、山口さんは自分が派遣された経験を踏まえ、全国から支援に訪れる自治体の職員などが安心して滞在できるよう仮設住宅の建設を提案したということです。

山口さんは「能登町の職員は、災害対応の経験が少なく、全国からの職員が効率的に業務をこなすところが参考になっている。これから能登町は復旧・復興が進み住民との対話も必要になると思うので亘理町での経験を生かして丁寧な対話を心がけたい。1日も早くまちを元の姿に戻したい」と話していました。

被災者に寄り添う東北の職員

石川県能登町には東北の被災地の自治体から多くの職員が派遣されています。

中にはみずからも被災するなどした経験を生かして、被災者に寄り添いながら業務にあたっている職員もいます。

岩手県岩泉町から派遣された山崎正道さん(50)は、能登町役場で8日から住宅の再建などの相談業務にあたっています。

山崎さんは13年前の東日本大震災では自治体の職員として復興に向けた業務に当たりました。

また、親しい友人を亡くしました。

その後、8年前の2016年に岩手県で大きな被害が出た台風10号では、自宅が被災したといいます。

そうした経験から、山崎さんは能登半島地震の被災者に思いを寄せ、みずから手を上げて能登町の支援に訪れたということで、被災者の気持ちに寄り添って相談にあたりたいとしています。

山崎さんは「被災した人たちの中には周囲からさまざまなことを言われて、そうした現実から逃れたいという気持ちを抱えている人もいると思う。相談に応じるなかで、『あなたの選択は間違っていない』などと伝えていきたい」と話していました。