新型コロナ影響による「特例貸付」46%が返済開始できず

新型コロナウイルスの影響で失業したり収入が減ったりした世帯に国が生活費を貸し付ける「特例貸付」の返済が始まって1年がたちますが、返済の必要がある人のうちおよそ46%が返済を始められていないことがわかりました。厚生労働省はコロナ禍以降、収入が回復しない人などに対して支援を継続する方針です。

厚生労働省は新型コロナの影響で失業したり収入が減ったりした世帯に対して、生活費として4年前からおととしまで無利子で最大200万円を貸し付け、その規模は全体でおよそ382万件、総額1兆4431億円にのぼっています。

この「特例貸付」は最も早い世帯で去年1月から返済が始まりましたが、その対象となったおよそ144万件のうち66万件、率にして46%が去年12月末までに返済を始められていないことが社会福祉協議会のまとめでわかりました。

一方で貸し付け全体の29%にあたるおよそ111万件が住民税の非課税世帯などで返済が免除されたほか、3%にあたるおよそ11万件が病気や失業などを理由に返済を猶予されています。

厚生労働省などはコロナ禍以降、現在も収入が回復しない人などに対して個別に生活状況を把握した上で、返済の相談など支援を継続する方針です。

厚生労働省は「今も生活が苦しい方を必要な支援につなぐことが重要だと考えている。返済などに困っている場合は地元の社会福祉協議会に相談してほしい」としています。

専門家「国が主導して長くフォローアップする体制を」

生活困窮者の問題に詳しい明治大学の岡部卓 専任教授は「新型コロナの特例貸付が返済できていない人の中には多くの借金を抱えている人や、障害を抱えている人などいろいろな生活課題を抱えている人がいる。そうした人たちは収入を得ていたとしてもそれを上回る物価の上昇があり生活状況はコロナの感染拡大前まで回復しておらず、返済が難しい状況が生み出されている」と指摘しています。

その上で「なかなか返済ができていない人たちは生活の困難な層であるという認識を持って、地元の社会福祉協議会は家計支援や就労支援などを行いながら生活再建の道筋を一緒に考えることが重要で、国が主導して長くフォローアップする体制をとっていく必要がある」と指摘しています。