建設業界の人手不足対応 賃上げなど促す改正法案 閣議決定

政府は建設業界の深刻な人手不足に対応するため、現場で働く人の賃上げや働き方改革を促すことなどを盛り込んだ建設業法や関連法の改正案を8日の閣議で決定しました。

建設業界では物流業界と同じく、4月から始まる時間外労働の規制強化で人手不足が深刻化する「2024年問題」が懸念されています。

政府はほかの産業よりも賃金が低い一方で、労働時間が長いとされる建設業の労働環境を改善し、担い手の確保につなげようと、建設業法や関連する法律の改正案を閣議決定しました。

この中では、大工や左官など建設現場で働く人たちの労務費に目安を設け、建設業者に対し、これを大きく下回る額で見積もりを依頼した場合、法律に基づく勧告や業者名を公表できる措置を導入します。

また、契約後に資材の高騰などが生じ、受注業者側が契約変更を申し出た際は、発注業者側に協議に応じる努力義務を課します。

さらに、業界でも特に残業が多い現場監督については、専任の担当者を置く要件を緩和し、より大規模な工事でもデジタル技術を活用して、1人が複数の現場を掛け持ちできるようにします。

人手不足の緩和のほか、人員に余裕が生まれ、休日の確保がしやすくなるなどの効果が期待されます。

このほか、長時間労働につながると指摘されている、著しく短い工期での受注も禁じます。

この法律の改正案について、政府は今の通常国会での成立を目指したいとしています。

斉藤国交相「持続可能な建設業の実現目指す」

斉藤国土交通大臣は8日に閣議決定した建設業法や関連法の改正案について、閣議のあとの会見で、「設備投資を担う建設業界は日本経済全体にとっても非常に重要だ。今回の改正案によって、処遇改善と働き方改革を強力に進めることで、将来にわたって必要な担い手が確保できる持続可能な建設業の実現を目指していく」と述べました。

そのうえで、来月から始まる建設業界での時間外労働の規制強化について、「労働者の健康と安全を守ることを目的とした規制であり、しっかり順守することが必要だ。ただ、労働時間の短縮が収入に影響を及ぼすことがないよう、厳しい労働環境にふさわしい賃上げに取り組んでいく」と述べました。