【詳細8日】交渉いったん中断 イスラエル首相は攻撃継続強調

イスラエルとイスラム組織ハマスとの間の戦闘の休止をめぐる交渉はいったん中断され、今月10日ごろに始まるイスラム教の断食月ラマダン前の合意は難しい情勢で、イスラエルのネタニヤフ首相は「ラファを含むガザ地区全域で作戦を続ける」と述べ、攻撃を継続する考えを強調しました。

戦闘休止や人質解放めぐる交渉 いったん中断 ハマスが声明

イスラエル軍は7日夜もガザ地区の各地で攻撃を続け、パレスチナの地元メディアは、中部デルバラハの住宅への空爆で9人が死亡するなど合わせて数十人が死亡したと伝えています。

戦闘休止や人質の解放をめぐって仲介国のエジプトで行われていた交渉について、ハマスは7日の声明で「交渉団は指導部と相談するためカイロから引き上げた」としていったん中断したことを明らかにしました。

一部のアラブメディアは、交渉は10日にも再開されるという見通しを伝えていますが、ハマスが持続的な停戦を求めているのに対しイスラエル側は拒否していて、ラマダン前に合意に至るのは難しい情勢です。

イスラエル ネタニヤフ首相 攻撃継続の考え強調

イスラエルのネタニヤフ首相は7日、軍の式典で演説し「イスラエル軍はラファを含むガザ地区全域でハマスとの戦いを続ける。ラファでの作戦を行うなと言うことはわれわれに戦争に負けろと言っているようなものだ」と述べ、攻撃を継続する考えを強調するとともに、南部ラファへの地上作戦にも改めて言及しました。

ラファへの地上作戦をめぐってイスラエルは先月上旬から強行する姿勢を示していますが、北部や中部からの避難者を含めて150万人近くが身を寄せるラファへの地上作戦は住民の犠牲の拡大と人道状況の悪化につながるため、国際社会の懸念が強まっています。

米バイデン政権 ガザ地区に海からの物資搬入目指す

イスラエルとハマスの戦闘が始まってから7日で5か月。ガザ地区の保健当局はイスラエル軍の攻撃による死者はこれまでに3万800人に上るとしています。

戦闘の休止などをめぐる交渉についてハマスは7日、交渉がいったん中断されたことを明らかにしました。イスラム教の断食月、ラマダンまでに合意に至るのは難しい情勢で、ラマダン中も戦闘が続けば中東全域に緊張が広がることが懸念されています。

ガザ地区では支援物資の搬入が南部の2か所の検問所からしか認められておらず、食料などが不足し、とりわけ、北部では深刻な状況が続いています。

アメリカは今月から空からの物資の投下を始めていて、アメリカ中央軍は7日もヨルダン軍と合同で、ガザ地区北部に3万8000食以上の食料を投下したと発表しました。

一方、ホワイトハウスの高官は7日、記者団に対し「ガザ地区に仮設の桟橋のある港を造り、1日あたりトラック数百台分の物資を搬入する」と明らかにしました。

搬入にあたってはアメリカ軍は上陸せず、イスラエル側と調整して陸上での安全を確保したうえ、国連や人道支援のNGOの協力を得るとしていて、実際に搬入が始まるまで数週間かかるとしています。

バイデン大統領はこうした新たな方針について、7日に連邦議会で行う、今後1年間の施政方針を示す一般教書演説の中で明らかにすることにしています。

イエメン沖アデン湾 フーシ派によるミサイル攻撃で3人死亡

中東イエメン沖のアデン湾で6日、貨物船がイエメンの反政府勢力、フーシ派によるミサイル攻撃を受け、3人が死亡しました。去年11月のフーシ派による攻撃以降、初めて死者が出たと伝えられています。

インド海軍はヘリコプターやボートを使ってこの貨物船の21人の乗組員を救助したと発表しました。

インド海軍報道官のSNSに掲載された動画では、救助された乗組員とみられる人たちがボートに横たわっていたり、両脇を抱えられながらヘリコプターから降りたりする様子のほか、担架で運ばれたあとに治療を受けている様子などが確認できます。

インド海軍によりますと、乗組員は救助されたあと、ジブチにある病院に搬送されたということです。

この貨物船はバルバドス船籍で、アメリカ中央軍によりますと、フーシ派のミサイル攻撃でこれまでに3人が死亡し、4人がけがをしました。

フーシ派は去年11月以降、紅海周辺で船舶への攻撃を繰り返していますが、地元メディアなどによりますと、フーシ派が一連の攻撃を始めてから、死者が出たのは今回が初めてだと伝えています。

貨物船の船体は大きな損傷を受け、乗組員はこの船から避難したということです。