野球日本代表 欧州代表に2連勝 6人の投手リレーで完全試合

野球の日本代表は7日夜、ことし11月の国際大会に向けたヨーロッパ代表との強化試合を行い、6人の投手リレーで一人のランナーも許さず完全試合を達成し、2対0で勝ちました。

野球の日本代表はことし11月に行われる国際大会「プレミア12」に向けた強化の一環として、大阪市の京セラドーム大阪で、6日に続き、7日夜もヨーロッパ代表と対戦しました。

今回の日本代表には去年のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの優勝メンバーのほか、育成を重視する井端弘和監督の意向もあり、大学生が4人選ばれていて、関西大の金丸夢斗投手が先発しました。

大学球界を代表する左腕の金丸投手は注目の立ち上がり、最速151キロのストレートでカウントを整え、追い込んでからは変化球を決め球にする組み立てで2つの三振を奪い、3人で抑えました。

打線は直後の2回、相手のエラーとフォアボールで1アウト一塁三塁として、8番に入ったDeNAの山本祐大選手の犠牲フライで三塁ランナーがかえり、ノーヒットで先制点を奪いました。

金丸投手は続く2回も2つの三振を奪い、2イニングを投げて1人のランナーも許さず、奪った三振は4つとレベルの高さを見せました。

3回からは愛知工業大の右ピッチャー、中村優斗投手がマウンドに上がり、最速157キロの持ち味のストレートを投げ込み、こちらも1回無失点で1人のランナーも出しませんでした。

この後も西武の隅田知一郎投手など、登板したピッチャーが好投を見せ、

センターを守る青山学院大の西川史礁選手がヒット性の打球をダイビングキャッチするなど守備ももり立てました。

日本は8回に1点を加え、9回はロッテの種市篤暉投手が抑えて、合わせて6人の投手リレーで一人のランナーも許さずに完全試合を達成し、2対0でヨーロッパ代表に勝ちました。

日本は強化試合、2連勝です。

日本代表 完全試合 投手リレーなど詳細

日本は
▼先発した関西大の金丸夢斗投手が2イニング
▼2人目の愛知工業大の中村優斗投手が1イニング
▼3人目の中日の松山晋也投手が1イニング
▼4人目の楽天の渡辺翔太投手が1イニング
▼5人目の西武の隅田知一郎投手が2イニング
▼6人目のロッテの種市篤暉投手が2イニングを抑え、
1人のランナーも出しませんでした。

内容は三振15個、内野ゴロが8個、内野フライ1個、外野フライ3個でした。

ヨーロッパ代表は去年のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで日本と対戦したチェコやイタリアの代表選手のほか、オランダやスペイン、ドイツの自国のリーグでプレーする選手などが出場していました。

関西大 金丸夢斗「持ち味のストレートと制球力 存分に出せた」

大学球界屈指のピッチャーで、第2戦の先発に抜てきされた関西大の金丸夢斗投手は2イニングを投げて4つの三振を奪うなど、1人のランナーも許さない完璧な投球を見せ、期待に応えました。

試合後、「きのうが完封勝ちだったので、なんとか0点に抑えるという気持ちでマウンドにあがった。自分の持ち味であるストレートと制球力を存分に出せたのがいい結果につながった。まずはほっとした」とピッチングを振り返りました。

6人の継投で完全試合を達成したことについては「これまで完全試合を経験したことはなく、いい思い出になった」と話していました。

そして今回、代表のトップチームで3日間を過ごしたことについて、「代表帯同の期間中、いろんな方に教えてもらったので、これからの野球人生につなげていきたい」と語った上で、「最終的には日本を代表するようなピッチャーになりたい。ドラフト1位でプロにいくことを目標に頑張っていきたい」と、今後に向けて力強く意気込みを話しました。

愛知工業大 中村優斗「今持っている力の最大限を出せた」

ストレートの球速が自己最速タイの157キロをマークするなど持ち味を発揮し、1イニングを完璧に抑えた愛知工業大の中村優斗投手は「緊張したが、初めてこんなに大勢の観客の前で投げることができて、アドレナリンも出ていいピッチングをすることができた。自分が今持っている力の最大限を出せた」と振り返りました。

先発した関西大の金丸夢斗投手とのリレーについては「『2人で絶対3イニング抑えよう』と話していたので、パーフェクトで抑えることができてよかった」と話していました。

そのうえで、「今回、一緒に試合をした方たちのようなピッチャーになれるように今後も頑張っていきたい。将来はまたこのユニフォームを着てプレーをしたい」と意気込んでいました。

青山学院大 西川史礁「守備でいいところを見せられた」

青山学院大の西川史礁選手は6日の試合で2打数2安打1打点と結果を残し、7日は1番・センターで先発出場しました。

西川選手は1打席目に内野安打を打ち、「1番バッターとして勢いをつけたいと思っていたので役割を果たせた」と振り返りました。

一方で、その後の4打席ではヒットは出ず、「自分の中ではあと1本か2本はヒットを打ちたかった」と悔しさをにじませていました。

また、7回の守備ではヒット性の打球をダイビングキャッチして完全試合を呼び込んだことについて、「完全試合をしているということは意識しておらず、先頭バッターを出したくないという気持ちで突っ込んでいった。ふだんから打球に対して一歩目の反応を重視していて、この大舞台でも発揮できた。打撃でいいところを見せられなかったので、守備でいいところを見せられたかなと思う」と笑顔を見せていました。

そして、「このような経験をさせてもらって光栄だし、これから先の野球人生に生かしていきたい。ドラフト1位で指名されることが今の目標だ」と意気込んでいました。

明治大 宗山塁「大学生の活躍誇らしいが試合出られず悔しい」

代表合流前の試合でのデッドボールの影響で右の肩甲骨を骨折し、試合に出場できなかった明治大の宗山塁選手は「同じ大学生の活躍が素直にうれしかったし、誇らしかったが、試合に出られず悔しい思いもあった。大学のリーグ戦の結果で見返したい」と話していました。

そのうえで、大学生で代表入りし、プロのトップ選手と触れ合ったことについて、「こんなにいい経験はない。この経験を生かして、まだまだレベルアップできるように、目標を常に高く持って1日1日を大切にしていきたい」と前向きに話していました。

井端弘和監督「若い選手出てくることは野球界の底上げ」

井端弘和監督は試合後の会見で、「打線が点を取れない中で、投手陣がふんばってすばらしい投球をしてくれた」と話し、ひとりのランナーも出さず、完全試合を達成した6人のピッチャーをたたえました。

そして、先発の金丸投手、2人目の中村投手と今回抜てきした2人の大学生ピッチャーが圧巻のピッチングを見せたことについて、「ストライク先行で有利なカウントに持ち込んで決め球を投げられていたのはすばらしいのひと言だ。ストレートに強い打者が多い相手打線に対して投げ込んでいたし、思った以上のピッチングをしてくれた」と賛辞を惜しみませんでした。

また、7回にセンターへ飛んだヒット性の当たりをダイビングキャッチでアウトにした西川選手のプレーについて、「完全試合を意識した瞬間にあの打球が飛んだ。打った瞬間にやられたと思ったが反応していた。さすがの思い切りのよさと反応だった」と完全試合を呼び込む好プレーだったと振り返りました。

井端監督にとって今回の強化試合は初めてトップチームの指揮を執る場だったにもかかわらず、「日本を背負って立つ選手だ」と見込んで将来性豊かな大学生4人を呼ぶなど、「代表の強化と育成」の両立を目指す“井端カラー”を全面に押し出しました。

そのねらい通り、代表活動初日の練習で大学生たちは主力選手と積極的に交流を図り、プロの技術を吸収しようとする姿が見られたほか、大舞台ではつらつとプレーし、起用に結果で応えました。

井端監督は大学生の躍動が球界に与える影響について、「プロに入る前の選手でこれだけの選手がいるんだとこちらも思った。どんどん若い選手が出てくることは野球界の底上げにつながっている」と説明しました。

その上で、「選んだメンバーの活躍は代表に入ってこなかった大学生に対してもいい刺激になったし、アマ球界が盛り上がる。これから大学、社会人、そして高校生もますます楽しみになってくる」と話し、代表の強化だけでなく、プロアマ問わずに球界全体が活性化し、レベルアップが進んでいくことに期待を寄せていました。

そして、「どの選手にもチャンスはある。これからいい成績を残してジャパンに入ってきてほしい」と話していました。

代表合宿もない短期間での強化試合で、実力では劣るヨーロッパ代表との対戦でしたが、2連勝という結果以上の波及効果をもたらし、連覇がかかる11月の「プレミア12」へ弾みをつけました。