来春卒業の大学生対象 合同就職説明会 被災地企業も参加 金沢

来年春に卒業する大学生などを対象にした合同の就職説明会が金沢市で開かれ、能登半島地震の被災地の企業は「復興に協力できる企業なので興味を持ってほしい」などと学生たちに呼びかけました。

大学生などの就職活動が今月から本格化する中、石川県内でもおよそ350社の地元企業が参加する合同の就職説明会が7日から2日間の日程で金沢市で始まりました。

7日の午前中はおよそ90社がブースを設け、能登半島地震で大きな被害が出た能登地方からも3社が参加しました。

このうち、能登町に本店がある興能信用金庫の採用担当者は、地域に密着して取引先の支援を行うといった業務の内容を説明し、学生たちに「復興に協力できる企業なので興味を持ってほしい」と呼びかけました。

説明会に参加した輪島市出身の短大生は「今回の地震で実家の屋根が壊れました。地元で就職したい気持ちはありますが、いつ住める状況になるか分からず、悩ましいです」と話していました。

説明会を開いた団体の多田恭介就職支援課長は「被災地の企業の中には、今回の参加を取りやめたところもあり採用に影響が出ている。必死に立ち上がろうとしている企業も多く、学生にはそうした企業のことも知ってもらいたい」と話しています。

“「地元のために」という思いの方に”

能登半島地震の影響が長期化する中、被災地の企業からは、十分な人数の学生を採用できるか見通せないという声もあがっています。

このうち、石川県能登町に本店があり、輪島市や珠洲市などが営業エリアの興能信用金庫は、能登半島を中心に20の店舗を構えています。

今回の地震で建物が被害を受けるなどして今も3つの店舗で休業が続いているほか、依然として避難所からの通勤を余儀なくされる職員がいるなど、通常の営業体制に戻るめどは立っていません。

この信用金庫では、来年春に10人程度の採用を目指していますが、そもそも学生優位の「売り手市場」の中で今回の地震が発生し、十分な人数を採用できるかは見通せないといいます。

このため地域の復興に取り組みたいという強い思いを持った学生に働きかけを強めることで、人材を確保したいと考えています。

興能信用金庫本店営業部の鍵主庄司副支店長は「地場産業の復興や発展に力を発揮できるというのは魅力だと思う。信用金庫は地元のために尽くすのが基本理念になっているので、そういう思いをもった方に来てもらいたい」と話しています。