FRBはことし1月に開いた金融政策を決める会合で4会合連続で金利を据え置くことを決め、次のステップとして利下げが大きな焦点となっています。
パウエル議長は6日、議会下院の委員会で証言しました。
このなかで、これまでの金融引き締めによって経済活動やインフレ率に下押しの圧力がかかっており、政策金利はすでにピークに達しているという考えを示しました。
その上で「経済が予想通り進展すれば年内のいずれかの時点で利下げを始めることが適切になるだろう」と述べました。
一方、議員からいつ利下げを始めるか問われたのに対し「非常に重要なステップになるのでもう少しデータを見極めて自信をもってその一歩を踏み出したい」と述べるにとどめ、具体的な時期の言及は避けました。
市場では先月、発表された物価の統計が相次いで市場予想を上回ったことなどから今月19日と20日に行われる会合や来月30日と5月1日に行われる会合で利下げが決まるとの観測は後退しています。
FRBがいつから利下げを開始するのか今後のパウエル議長の発言内容を市場は注目しています。
米FRB議長「年内いずれかの時点で利下げ」時期の言及は避ける
アメリカのFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長は、6日、議会下院で証言し、政策金利がすでにピークに達しているという考えを示した上で「年内のいずれかの時点で利下げを始めることが適切になるだろう」と述べました。ただ、具体的な時期の言及は避けました。
市場関係者「議会証言の内容に驚きない」円高進む
6日のニューヨーク株式市場はFRBのパウエル議長がこの日行った議会証言でこれまでの金融引き締めによってインフレが鈍化傾向にあると強調したことで、利下げの時期が大幅に遅れることはないとの観測が広がりました。
このため景気の先行きへの期待から買い注文が増える展開となり、ダウ平均株価の終値は前日と比べて75ドル86セント高い3万8661ドル5セントでした。
また、ニューヨーク外国為替市場では日米の金利差縮小が意識されてドルを売って円を買う動きが出て、円相場は一時、1ドル=149円台前半まで円高ドル安が進みました。
市場関係者は「パウエル議長がこれまで早期の利下げ観測をけん制する 発言をしていたため投資家のあいだでは警戒感があったが、議会証言の内容に驚きはなかったことで安心感が広がった。ただ、FRBが重視する雇用統計の発表を8日に控えていることから買い注文が一段と増える展開にはならなかった」と話しています。