自民 党則など改正へ 悪質な会計処理は議員本人処分の仕組みに

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、自民党は党則などを改正し、悪質な会計処理があった場合に会計責任者だけでなく議員本人を処分する仕組みを設け信頼回復につなげたい考えです。

一方、野党側は、実態解明に向けた取り組みは不十分だと批判していて追及を続ける方針です。

今回の問題を受けて自民党は、先月、「政治刷新本部」のもとに作業チームを設けて党則などの改正を検討し、これまでに案をまとめました。

それによりますと、会計責任者が政治資金規正法違反で逮捕・起訴された時は、議員本人に「離党の勧告」や「党員資格の停止」などの処分を行えるようにするとしています。

また、会計責任者の有罪判決が確定し、議員も関与するなど政治不信を招く政治的・道義的責任があると認められる時は「除名」か「離党の勧告」を行うとしています。

党幹部の1人は「悪質な会計処理があった場合議員の責任を明確にするなど改めるべきは改める姿勢で党改革を進めていく」と話しています。

自民党は7日、岸田総理大臣も出席して「政治刷新本部」の会合を開き意見集約を図る予定で、こうした改正などを通じて再発防止を徹底し信頼回復につなげたい考えです。

一方、野党側は先に行われた衆議院政治倫理審査会で安倍派の幹部らの説明を含め、自民党の実態解明に向けた取り組みは不十分だと批判しています。

立憲民主党の安住国会対策委員長は「関係した議員の中には将来性のある議員もたくさんおり、ここでつまずかないためにも審査会で話したらどうか」と述べ、関係議員はみずから審査会で弁明することを申し出るべきだと指摘しました。

野党側は、7日の参議院予算委員会や来週にも開かれる見通しの参議院の審査会などで追及を続ける方針です。

自民 党則に基づいて8つの処分 規約に掲げる

自民党は、所属議員に政治不信を招く政治的道義的な責任があると認めた場合、党則に基づいて8つの処分を行うと規約に掲げています。

処分は重い順に「除名」、「離党の勧告」、「党員資格の停止」、「選挙における非公認」、「国会および政府の役職の辞任勧告」、「党の役職停止」、「戒告」、「倫理憲章などの規定の順守の勧告」となっています。

立民 長妻政調会長「党がいくらでも差配できる」

立憲民主党の長妻政務調査会長は、記者会見で「党則を厳しくすることは悪いことではないが、党則は法律ではなく、客観性もないので、党がいくらでも差配でき、われわれは重きを置いていない。徹底した実態解明をしたあとに、関係議員が責任を取って納税し、法律の抜け穴を完全にふさいでいくべきだが、第一段階の実態解明がまだ道半ばだ」と述べました。

教育 前原代表「党則の改正でお茶を濁されたら困る」

教育無償化を実現する会の前原代表は、記者会見で「自民党が党則の改正をするなら、それはそれですればいいが、連座制的なものについて法律論としてこれから議論し、担保しなければならない。岸田総理大臣は国会の答弁で『連座制』について前向きに答弁していたので、それが党則の改正でお茶を濁されたら困る」と述べました。

また、自民党による関係議員の処分について「裏金をつくっていたことが分かっている議員はすべて処分すべきだ。金額の多寡によって差をつけるのはおかしな話で、コロナ禍の中、銀座で飲み歩いていた議員が離党勧告を受けた基準からすれば、裏金をつくっていた議員はすべて除名させるのが自民党の処分としてふさわしい」と述べました。