フィリピン 南シナ海で中国船が放水銃発射で初の負傷者

フィリピン政府は南シナ海で5日にフィリピンの船が中国海警局の船から放水を受けてけが人が出たことについて、南シナ海の補給任務で負傷者が出るのは初めてだとしたうえで、「最も重大な案件だ」と述べ、中国側に自制を求めました。

フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海のセカンド・トーマス礁の海域では、5日にフィリピン軍の拠点に向かっていた運搬船が、中国海警局の船から放水銃を発射され、乗組員4人がけがをしました。

フィリピン政府の南シナ海対策本部は6日、首都マニラで会見を開き、けがをした乗組員はいずれも軍人で、放水を受けた際に操縦席の窓ガラスが割れて負傷したと説明しました。

そのうえで、南シナ海の補給任務で負傷者が出るのはこれが初めてだと明らかにし、「これまでで最も重大な案件だ」と述べました。

現場の海域ではフィリピン船団の6隻に対して、中国側は海警局の5隻の船に加えて、海上民兵が乗り込んでいたとみられる18隻の大型漁船を展開したほか、3隻の艦船も背後に控えていたとしています。

フィリピン外務省は5日、マニラに駐在する中国大使館の公使を呼び出して抗議するとともに、会見では緊張を高めることなく外交で解決するよう中国側に自制を求めました。

中国「責任は全面的にフィリピン側にある」

中国外務省の毛寧報道官は6日の記者会見で、「原因はフィリピンが約束に反し、中国の主権と海洋権益を侵害したことであり、中国は法律に従って必要な措置を講じ、抑制的かつ合理的に行動した。責任は全面的にフィリピン側にある」と述べ、フィリピンを非難しました。

セカンド・トーマス礁について、中国は中国名の「仁愛礁」という呼び方を使っていて、毛報道官は「中国が仁愛礁を含む南沙諸島と、その周辺海域で主権を有していることに議論の余地はない」と主張しました。