伊藤忠商事などがビッグモーターの事業引き継ぎへ 契約締結

ビッグモーターの経営再建に向けて、大手商社の伊藤忠商事などがビッグモーター側と6日、契約を結び、事業を引き継ぐことが決まりました。来月後半をめどに新会社を設立し、兼重宏行前社長など創業家は新会社の経営に関与しないとしています。

発表によりますと、「伊藤忠商事」と子会社でエネルギー商社の「伊藤忠エネクス」、それに投資ファンドの「ジェイ・ウィル・パートナーズ」の3社は、ビッグモーターの経営再建に向けて事業を引き継ぐことで6日、ビッグモーター側と契約を締結したということです。

事業の引き継ぎにあたっては、会社を分割する形で来月後半をめどに3社が新会社を設立し、中古車の販売や自動車の整備など主要事業を引き継ぎます。

兼重前社長など創業家は新会社の経営に関与しないとしています。

伊藤忠商事などはこれまで、ビッグモーターの資産や事業の価値などの調査を進めてきました。

6日の発表で伊藤忠商事は「事業の再建が可能であり、取り組みの意義があると判断した」としています。

一連の問題でビッグモーターへの信頼が失われるなか、事業を引き継いだあとに、信頼の回復や経営の立て直しをどこまで実現できるかが今後の焦点となります。

ビッグモーター 一連の問題とは

ビッグモーターによる保険金の不正請求問題では会社の企業体質も問われています。

去年7月に会社が公表した外部の弁護士による特別調査委員会の調査報告書によりますと、ビッグモーターでは修理費用を水増しして保険金を不正に請求するため、ゴルフボールを靴下に入れて車をたたくなど、故意に車を傷つける事例が横行していたということです。

2020年8月ごろからは経営幹部の判断で、板金や塗装を手がける工場の責任者である工場長の降格処分が相次いで行われていたこともわかっています。

報告書では会社の企業体質について「経営陣にそのまま従い、そんたくするいびつな企業風土があった」と厳しく指摘し、会社の経営体制や法令順守への姿勢に対し批判が集まりました。

こうした中で、創業者の兼重宏行社長は去年7月26日付けで辞任し、後任の社長に和泉伸二 専務取締役が就任しました。

しかし、問題の発覚を受けた顧客離れは深刻で、7月以降はビッグモーターが扱う中古車の販売台数は大きく落ち込んでいました。

関係者によりますと、8月には例年と比べて7割以上の大幅な減少となり、会社は他社の株式など保有する資産の売却や、六本木ヒルズからの本社移転などを行い、当面の資金確保を進めてきました。

しかし、10月には国土交通省が道路運送車両法に基づいて、34の事業所に対して整備業務の一時停止などの処分を行ったほか、11月には金融庁も保険業法に基づき保険代理店の登録を取り消す処分を出しました。

また、店舗で除草剤をまくなどの行為が行われていた疑いがあるとして、警視庁が今月、前副社長や当時の店長ら合わせて13人を書類送検したほか、違法な残業をさせていたとして東京労働局が今月、労働基準法違反の疑いで会社と30代の工場長の男性を書類送検しています。

伊藤忠商事 自動車関連の事業との相乗効果見込む

伊藤忠商事はグループ内で自動車に関わる事業を幅広く手がけ、ビッグモーターから引き継ぐ事業との相乗効果を見込んでいます。

伊藤忠商事はグループ内で中古車販売や、自動車関連用品の販売、それに自動車の整備や車検に関する事業を手がけていて、相乗効果によって事業の強化を進める方針です。

そのほか、伊藤忠商事はグループ内の保険代理店の「ほけんの窓口グループ」やファミリーマートなどについても今後、協業などを検討していくとしています。