石川 公立高校入試 地元離れ避難の受験生に金沢市内の会場用意

石川県内の公立高校の一般入試が6日から始まりました。能登半島地震で地元を離れて避難している受験生には、金沢市内に会場が用意され試験に臨んでいます。

石川県内の公立高校の一般入試は、6日と7日の2日間の日程で行われます。

能登半島地震で被災し、地元を離れて避難している受験生には、金沢市にある県の施設が特別に用意され、およそ90人が手配されたバスなどで会場に入りました。

席に着いた受験生たちは、最初の科目の国語の問題用紙が配られると、静かに開始の合図を待っていました。

全日制の公立高校40校の一般入試は、ことしの平均倍率が0.98倍と、去年と比べて0.03ポイント低くなっています。

能登半島地震で、特に大きな被害を受けた奥能登地域にある5つの公立高校の倍率は、いずれも去年を下回っていて、このうち珠洲市の飯田高校は、去年より0.4ポイント低い0.43倍となっています。

石川県教育委員会は「奥能登での進学を考えていた生徒が、地震を受けて志望校を変更せざるをえなかったケースがあったと考えている」としています。

試験は、6日は国語のほか理科と英語の試験が、7日は社会と数学の試験が行われ、合格発表は3月14日です。

輪島高校では25人が試験に臨む 多くは金沢会場で

石川県輪島市の輪島高校でも、受験生たちが試験に臨みました。

輪島高校は体育館の一部が壊れ、周辺の道路には、まだ、がれきなどが散乱しています。

午前9時の試験開始を前に、受験生たちは保護者に車で送られるなどして高校に到着しました。

ことしは76人が出願していますが、輪島高校で試験に臨む受験生は25人で、多くは市外に避難して金沢市に設けられた会場で試験を受けているということです。

珠洲で地元に残る選択した生徒は

石川県珠洲市では、多くの生徒が市外の高校への進学を希望する中で、地元に残る選択をした生徒もいます。

珠洲市上戸町の中学3年生、初鳥慶次さんもその1人で、地震のあとも家族と自宅で暮らしています。

地元を離れた友人も多く、以前は同じ中学に同学年の生徒が40人ほどいましたが、現在、残っているのは9人で、このうち何人かは市外の高校に進学する予定だということです。

初鳥さんも一時、友人たちと一緒に金沢市の高校に進学することを考えたものの、家族で話し合った結果、地元に残ることを決断しました。

初鳥さんは「最初は金沢に行くべきではないかということも考えました。でも、家族も地元に残ることを決めたし、なじみのある土地にいたい思いが強く、地元に残ろうと決めました」と話していました。

父親の初鳥進也さんは、車で息子を試験会場の高校へ送り、「頑張れ」と力強く激励していました。

初鳥進也さんは「息子の友人たちも、今では金沢に避難した人のほうが多いので、息子も金沢へ行かせたほうがいいのではないかという迷いもありました。残ってくれるのは、うれしいと思う気持ちのほうが大きいです。何を言っても家族みんながそろっているほうが心強いです」と話していました。