【詳細】“仲介国などが短期の戦闘休止を提案” 米有力紙

イスラエルとイスラム組織ハマスとの間の戦闘休止に向けた交渉が難航する中、アメリカの有力紙は、仲介国などが、まずは数日間など短期の戦闘休止を提案したと報じました。イスラム教の断食月、ラマダンが今月10日ごろに始まることから、双方の歩み寄りにつながるかが焦点です。

7日で戦闘開始から5か月 食料不足など人道危機深まる

イスラエルとハマスの戦闘が始まってから7日で5か月となる中、ガザ地区の保健当局によりますと、これまでの死者は3万717人に上っていて、食料不足などによる人道危機も深まっています。

ハマスと交渉難航 米有力紙“仲介国など短期の戦闘休止提案”

エジプトの首都カイロでは、仲介国のエジプトやカタール、それにアメリカが、今月10日ごろに始まるラマダンまでに双方が戦闘休止などで合意するよう交渉を進めていますが、難航しています。

こうした中、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは5日、交渉関係者の話として、仲介国やアメリカが、まずは数日間など短期の戦闘休止を提案していると報じました。

まずは短期間の戦闘休止で合意を得ることで、長期の戦闘休止に向けた交渉につなげることが期待されているとしています。

アメリカのバイデン大統領は5日、記者団に対し、「ラマダンの間も戦闘が続くような状況になれば、とても、とても危険だ。私たちは懸命に取り組む」と述べて、早期に戦闘休止を実現する必要があると危機感を示しています。

イスラエルと仲介国側は人質の解放にともなって、およそ6週間、戦闘を休止する案にすでに合意しているとされる一方、ハマス側は一貫して完全な停戦を求めていて、立場は隔たったままです。

このため、ラマダンを前にしたぎりぎりの交渉で双方の歩み寄りにつながるかが焦点です。

米大統領「戦闘休止などめぐる交渉 ハマス次第」

イスラエルとイスラム組織ハマスの間の戦闘休止などをめぐる交渉が停滞する中、アメリカのバイデン大統領は交渉がまとまるかはハマス次第だとしたうえで、早期に戦闘休止を実現する必要があると危機感を示しました。

ガザ地区での戦闘の休止と人質の解放などをめぐる交渉は、3月3日にハマスの代表団がエジプトに到着して、仲介国のカタールやエジプト、そしてアメリカと協議を続けています。

これまでの交渉でイスラエルと仲介国側は、人質の解放にともなっておよそ6週間、戦闘を休止する案にすでに合意しているとされる一方、ハマス側は一貫して完全な停戦を求めていて、立場には隔たりがあります。

アメリカのバイデン大統領は5日、記者団から交渉の合意は近づいているか問われたのに対し、「これまでに合理的な提案があった。イスラエルはそれに同意し、ハマスがどうするかを待っている。交渉は今、ハマスに委ねられている」と述べました。

そして、3月10日ごろに始まるイスラム教の断食月、ラマダンまでに戦闘の休止が実現するかどうかについて、「ラマダンの間も戦闘が続くような状況になれば、とても、とても危険だ。私たちは懸命に取り組む」と述べて、早期に戦闘休止を実現する必要があると危機感を示しました。

“ガザ市の病院 15歳女の子が栄養失調などで死亡”保健当局

人道状況の悪化が続くガザ地区で、現地の保健当局は、地区の北部のガザ市にあるシファ病院で15歳の女の子が栄養失調と脱水症状で亡くなり、これまでにこうした状況で亡くなった子どもたちは18人に上ると6日、SNSで明らかにしました。

一方、WFP=世界食糧計画は5日、ヨルダン空軍の支援で2万人分の食料がガザ地区北部に投下されたとしています。

ただ、「空からの支援は最終手段であり、これで飢きんを回避することはできない」として、十分な量の支援物資を地上で安全に届ける必要性を訴えています。

WHO ガザ地区北部の病院の中を撮影した動画をSNSに投稿

WHO=世界保健機関は5日、ガザ地区北部のカマルアドワン病院の中を撮影した動画をSNSに投稿しました。

このなかでWHOは、ガザ地区北部では2歳以下の子ども6人に1人が重度の栄養失調になるなど、人道状況の悪化が続いていると訴えています。

動画には赤ちゃんがベッドで治療を受ける様子や、突然、停電が起きて辺りが暗くなり、医療機器のアラームが鳴り響く中にあっても、医療関係者が保育器の中の赤ちゃんに対応している様子が映されています。

また、小児科医が病院に訪れる子どもの多くが栄養失調となっていると訴えたうえで、「物資が足りず、半数ほどの子どもにしか適切に対応できていない。できることは、塩分か糖分を入れた水を与えることだけだ」と話しています。

そして、「子どもたちを助けるために戦争をいますぐ止めなくてはならないと世界に伝えたい」と話しています。

ガザ地区の保健当局は3日、この病院では15人の子どもが栄養失調と脱水症状で亡くなったと発表していて、日増しに人道状況が悪化しています。

アメリカ中央軍 ガザ地区北部に3万6800食以上の食料を投下

アメリカ中央軍は5日、声明を出し、ヨルダン軍と合同で、C130輸送機を使って空からガザ地区に人道支援物資を投下したと発表しました。

発表によりますと、ガザ地区北部に3万6800食以上の食料を投下したということです。

アメリカ軍によるガザ地区への支援物資の投下は今月2日に続いて2回目です。

声明の中でアメリカ軍は「より多くの支援物資をガザ地区に届けるための持続的な取り組みの一環だ」として、今後も投下作戦を続けると強調しました。

イスラエル イスラム教聖地への立ち入り制限は「例年どおりに」

イスラエル首相府は5日、エルサレムの旧市街にあるイスラム教の聖地、「ハラム・アッシャリフ」へのイスラム教徒の立ち入り制限について、イスラム教の断食月、ラマダンの期間中も「例年どおりの人数に許可される」とする声明を出しました。

立ち入り制限をめぐっては、極右の閣僚から、治安対策を理由に例年より厳しくすべきだという声も上がっていました。

ただ、例年と同様に立ち入りには一定の年齢制限などが設けられるとみられるほか、声明では「毎週、治安状況を評価して対応を決定をしていく」ともしていて、今後の対応によってはパレスチナ人の反発が強まる事態も懸念されています。