中国のことしの国防費 “34兆円余” 全人代で明らかに

中国で5日、始まった全人代=全国人民代表大会で、ことしの国防費は去年と比べて7.2%多い、日本円にして34兆円余りとなることが明らかになりました。景気の先行きに不透明感が強まる中でも軍備増強を進める姿勢を鮮明にしています。

中国では、重要政策を決める全人代が、5日から北京で始まり、李強首相が就任後初めてとなる政府活動報告を行いました。

このなかで李首相は、ことしの経済成長率の目標を、去年と同じ水準の5%前後とすることを明らかにしました。

李首相は「目標を達成するのは容易なことではない」と述べていて、目標達成に向けてどこまで実効性のある対策を打ち出せるかが焦点です。

一方、全人代では、中国政府のことしの予算案が公表され、このうち国防費については去年と比べて7.2%多い、1兆6655億人民元、日本円にして34兆8000億円余りになることが明らかになりました。

李首相は、政府活動報告で「より実戦的な軍事訓練を行い、国家の主権と安全、それに発展の利益を断固守る」と強調し軍の整備を加速させていくと訴えました。

さらに台湾についても「台湾海峡両岸の関係を平和的に発展させ、祖国統一の大事業を揺るぎなく推し進める」と述べ統一を目指す姿勢を改めて強調しました。

中国は、インド太平洋地域で軍事活動を活発化させているほか台湾についても平和的な統一を追求するとしながらも武力行使の放棄を約束していません。

習近平指導部は、不動産市場の低迷の長期化などを背景に、景気の先行きに不透明感が強まる中でも軍備増強を進める姿勢を鮮明にしています。