犯罪被害者の同性パートナー 遺族給付金めぐり最高裁で弁論

犯罪被害者の遺族に支払われる国の給付金の対象に、同性のパートナーが含まれるかどうかが争われている裁判の弁論が最高裁判所で開かれ、判決が今月26日に言い渡されることになりました。判決を変更する際に必要な弁論を開いたことから「対象に含まれない」とした1審と2審の判断が見直される可能性があります。

名古屋市の内山靖英さん(49)は10年前、同居していたパートナーの男性を殺害され、犯罪被害者の遺族を対象にした国の給付金を、愛知県公安委員会に申請しましたが、認められませんでした。

不服として内山さんが県を相手に起こした裁判では、給付金の対象とされている「事実上の婚姻関係にあった人」に同性のパートナーが含まれるかどうかが争点となり、1審の名古屋地方裁判所と2審の名古屋高等裁判所は対象に含まれないとして訴えを退け、内山さんが上告していました。

5日、最高裁判所第3小法廷で弁論が開かれ、内山さんの弁護士は「犯罪でパートナーを失うことの経済的、精神的損害は異性と同性で差はなく、同性の人を対象から外すことは法の目的に反する」などと主張しました。

一方、愛知県側は「給付金の対象などは国民感情も含めた社会状況も踏まえて考えるべきで、現在の社会意識を前提にすれば、同性どうしの内縁関係が成立すると考えるのは困難だ」と反論しました。

判決は今月26日に言い渡されることになり、判決を変更する際に必要な弁論を開いたことから「対象に含まれない」とした1審と2審の判断が見直される可能性があります。

原告側「平等に扱ってもらえるのかとても切実で大切な問題」

弁論のあと内山靖英さん(49)は、都内で会見を開きました。

事件以降、声を発することが難しくなったため、弁護士が代理としてコメントを読み上げました。

「自分たちが平等に扱ってもらえるのかというとても切実で大切な問題です。判決に期待したい気持ちと、また裏切られるかもしれないという気持ちの半々です」としています。

主任を務める堀江哲史弁護士は「同性パートナーシップ制度も広がってきていて、社会全体として同性カップルへの認識が進んでいる。判決は同じ文言を含むほかの法律の解釈にも影響を与える可能性があると思うので、期待している」と話していました。