能登半島地震 必要な支援と課題は?首長発言から【3月5日】

能登半島地震の発生から2か月がたちました。

石川県の「災害対策本部員会議」には被災自治体の首長が参加し、それぞれ、いまの被災地の状況や今後の見通し、課題などを報告し、必要な支援なども訴えています。3月5日に開かれた会議での被災自治体の首長の主な発言をまとめました。

※発言の順番に掲載しています。

輪島市 坂口茂市長「避難所は6か所減って55か所に」

「県による2次避難所からの無料バスの運行について、重ねてお礼を申し上げる」

「前回の報告から避難所は6か所減って55か所になった。避難者も91人減って、1906人となっている。より適切な支援を続けていくために、避難所の集約に努めていきたい」

水道はようやく全体の49%が復旧した。被害が思った以上にひどく苦戦をしているが、引き続き努力して復旧を進めていきたい」

「建物の被害調査について。全体の83%の2万5046棟が終了した。今月中旬には1次調査が終了する予定だ」

「り災証明書の交付については、27%の8061棟が終了した。引き続き、2次調査も1次調査の終了を待たずに開始していきたいと思っている」

「市からお願いがある。東日本大震災では認められていたものが、どうやら今回は厳しいと。認められないような話が少しずつ出てきている。きょうは具体的には申し上げないが、いくつかあり、そこはもう少し話をつめながら、さらなるお願いをしていきたいと思っている」

珠洲市 泉谷満寿裕市長「土砂災害の危険ある地区に戻る住民も」

県道の通行止めの応急復旧について急ピッチで進めてもらい、緊急車両のみではあるが、通行できるようになった。感謝を申し上げる」

「外浦の仁江地区、清水地区の土砂災害の復旧工事について、国が権限代行してくれるということでありがたく思っている。現在も仁江地区、清水地区では危険な状態が続いている。これまでは全世帯が避難していたが、ここにきて自宅に戻ってくる住民も出てきている。5日の午後1時に、仁江地区の国道海側を除く22世帯と、清水地区の仁江地区に隣接する3世帯について、正式に避難指示を発出した」

「まだ同じように土砂災害のおそれがある地域があると思われる。国土交通省と連携を密にして、エリアを特定をして、避難指示をこれから発出するかどうか早急に検討したいと思う。災害救助法にも関わってくるので、県としても対応をお願いしたい」

穴水町 吉村光輝町長「公費解体 どう頑張れば早くなるのか」

「避難者は367人。避難所は21か所。ラインおよび電話による避難者登録は716人」

「水道の復旧について。上水道については3月1日にすべて通水を確認し、断水を解消することができた。神戸市をはじめ、支援自治体の方々には昼夜を問わず作業にあたってもらい、あらためて感謝を申し上げる」

「しかしながら宅内配管の被災によって、まだ水道が使えない家庭が多数あるのが現状だ。また、地区管理水道も完全に復旧していないエリアがあり、支援を継続していく」

「断水の解消に伴って、自衛隊の給水活動と炊き出しを終了することになった。2か所で行われている入浴支援についても、17日に1か所を終了する予定。これまでの自衛隊の支援に感謝を申し上げる」

「り災証明の発行数は、住家については2456件。去年12月末時点の3564世帯のおよそ68%。発行申請に対してはすべて交付済みとなっている。非住家については619件発行している。住家の2次調査については300件の申し込みがあり、167件が調査済みとなっている」

「公費解体について。2月21日より予約の受け付けを開始した。4日時点で456件を受け付けた。今後、解体の実施に向けて作業を進めていく。1日でも早く解体を進めたいが、工程や手続きが複雑で誰がどこで頑張れば早くなるのか分からないのが正直なところだ。解体事業者がみずから町内で宿泊などの拠点さがしを行っていて、解決すべき課題がまだまだあるのではないかと考えている。1日でも2日でも早く実施できるよう、指導をお願いしたい」

「学校の給食について。4日から給食調理場2か所のうち、向洋小の調理場を再開することができた。11日の給食提供に向けて準備中だ。課題としては、従来は2か所で3校分の給食を提供してきたが、1か所で対応できるのか。また、道路事情が悪く、材料が時間内に届くかなどを検証して、11日の本格提供を目指していきたい」

能登町 大森凡世町長「短期的な人的ニーズ 職員派遣の枠組みを」

「避難者は501人で、前回の報告から170人の減となっている」

「断水が解消したのは3377戸で、通水率は54%に。いずれも今月中の断水解消に向け全力で取り組んでいく」

「道路の早期復旧について。町内では地震の液状化などの影響で、道路が沈下し、道路と宅地の段差が生じているケースが非常に多く見受けられる。道路高が決まらないと、宅地の修繕などに取りかかれる状態になく、再建に踏み切れない状況が続いている。町道も含めて道路と宅地との段差の解消をいち早くしていきたいので、特段の配慮をお願いをしたい」

「仮設住宅のサポートセンターについて。石川県から仮設住宅内のサポートセンターの整備について提案をもらったが、町内ではすでに仮設住宅の建設が着工されているところがある。県の関係部署で連携をとってもらい、仮設住宅の工期に間に合うようにぜひ対応をお願いしたい。サポートセンターの運営についても、よろしくお願いしたい」

「短期的な職員の派遣について、ひとつ提案したい。現在、職員の中長期の派遣について受け付けをしてもらっている。ただ今後、義援金の配布や、各種の受け付け事務など、短期的な人的ニーズが生じることは間違いない。短期的なニーズに対応できる県内市町の人材登録制度など、人材派遣の枠組みがあれば非常に助かる。県内からも人的支援についてぜひ検討してもらえれば」

七尾市 茶谷義隆市長「り災証明の2次調査にようやく着手した」

「避難者は前回の報告より151人減って、600人に。通水エリアが広がったこと、仮設住宅に入居した人がいると思う。さらなる避難者の減少には、やはり仮設住宅の建設や完成が必要になってくる」

り災証明の申請件数は1万5710件。そのうち証明書の発行は1万1416件で、72.7%の発行状況となっている。いまようやく2次調査にも着手した状況だ

「災害ボランティアについて。受付件数が1458件、完了件数が596件で、ボランティアのニーズはまだまだ高まるのではないかと思っている。片づけが終わらないと、今後の復旧や復興につながらないというふうに感じている」

「公費解体の受け付けなどもスタートはしている。しっかりと解体や修繕を行い、そのあとに建設もあるということで、避難している人たちが1日も早く日常を取り戻すために全力で取り組んでいくので、十分な支援をお願いしたい」

志賀町 稲岡健太郎町長「断水が解消 想定より1か月近く早く」

「避難の状況について。避難所は前回の報告より3施設減って17か所。避難者は69人減って449人となっている」

「り災証明の1次調査は1万1280棟が完了した」

3月2日に断水が解消した。皆様の協力や支援のおかげで、想定より1か月近く、早く断水を解消することができた

「災害ごみについて。町内2か所で1日平均708台、持ち込まれるごみの量は、1日平均およそ120トンと、少しずつ減少してきている」

「ボランティアについて。ニーズの受け付けは、累計でこれまでに785件。それに対して509件で完了し、65%の進捗(しんちょく)となっている。ボランティアは累計で3000人を超え、3079人の方にボランティアにきてもらっている。被災した建物へボランティア活動に入るための専門家の派遣を前回お願いしたが対応してもらい、ありがたい」

「道の駅のトイレの修理をお願いしていたが、仮設トイレで対応してもらっている。引き続き早急な復旧に向けてお願いしたい」

石川県の「災害対策本部員会議」の内容は県のホームページから誰でも確認できます。資料を確認できるほか、会議の動画を見ることもできます。