財政審「骨太の方針」ことしの提言に向けた議論を開始

財務大臣の諮問機関が、政府がまとめることしの「骨太の方針」に向けた議論を始め、焦点となる財政健全化の目標をめぐり、財政の現状などについて意見を交わしました。

財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会は、政府が例年、夏までに「骨太の方針」をまとめるのを前に提言を提出していて、5日、ことしの提言に向けた議論を始めました。

会議では、政府が2025年度の黒字化を目指す「基礎的財政収支」という指標について、ことし1月に行った試算では、高めの経済成長を想定した場合でも、2025年度には1兆1000億円程度の赤字が見込まれることが説明されました。

続いて委員らから、
▽社会保障費の増加が財政赤字の主な理由となっていることなど、財政の現状が国民に正確に伝わっていないとか
▽長期金利が上昇傾向にあることを踏まえ、国債の利払い費が増えることを想定して、海外事例の分析が必要だ
といった意見が出たということです。

ことしの骨太の方針では、基礎的財政収支の黒字化目標の扱いが焦点の1つとなる見通しで、審議会は、こうした点も含め提言を検討していく方針です。

財政制度等審議会の増田寛也分科会長代理は、記者会見で「新型コロナの感染対策などで補正予算の規模が膨らんでいることや、長期金利の上昇といった環境の変化を踏まえながら、基礎的財政収支の扱いをしっかり議論していく」と述べました。