米政府 五ノ井里奈さんに「世界の勇気ある女性賞」授与

アメリカ政府が女性の地位向上などに貢献した人を表彰する「世界の勇気ある女性賞」の授賞式がホワイトハウスで行われ、みずからの性被害を訴え、自衛隊の改革にもつなげたとして選ばれた元陸上自衛官の五ノ井里奈さんらに賞が授与されました。

アメリカ国務省は人権擁護や女性の地位向上などに貢献した女性に「世界の勇気ある女性賞」を授与していて、ことしは元陸上自衛官の五ノ井里奈さんなど12人が選ばれました。

4日、首都ワシントンのホワイトハウスで開かれた授賞式には、ジル・バイデン大統領夫人やブリンケン国務長官らが出席し、壇上に並んだ五ノ井さんら一人一人に対して賞が授与されました。

国務省は五ノ井さんの受賞理由について「自衛隊での性被害を訴え、日本社会ではタブー視されている問題に光をあてた」と説明しています。

ジル氏はあいさつの中で「この壇上にいる女性たちは、沈黙することを拒み、恐怖やリスクにさらされながらも、自分自身やみんなのために声をあげた人たちだ」とたたえました。

また、授賞式では、ホワイトハウスのジャンピエール報道官が、五ノ井さんが東日本大震災で被災した際の経験がきっかけとなり自衛隊に入隊したエピソードを紹介しました。

五ノ井さんは、柔道着姿で式に参加し、笑顔でトロフィーを受け取っていました。

五ノ井さん「自分の行動 間違っていなかった」

授賞式のあと五ノ井さんは国務省でNHKの取材に応じ「1人で声を上げ続けてきた中でこういう賞をいただけたのは、自分の行動が間違っていなかったのだと思いました。日本で声を上げると、ひぼう中傷がありましたが、心が折れそうなとき、海外で評価されたり、直接、『あなたは間違っていない』という言葉をもらったりするたびに心が救われたので、感謝しています」と話していました。

また、柔道着で授賞式に出席したことについては「幼いころから柔道を通して心も体も強くなりました。自衛隊で被害にあって声を上げ、心が折れそうになったときも柔道があったからこそ立ち直ることができました。投げられても何度も立ち上がる強さを教えられ、人生においても戦う力に変わっていきました。柔道に敬意を表すために柔道着を着て出席しました」と話していました。

そのうえで、今後の活動については「柔道のすばらしさを伝えていきたい。柔道を通して投げられても立ち上がる強さというのを悩んでいる人や苦しんでいる人に伝えていきたい」と話していました。