【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月5日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ “占領の象徴”ロシア黒海艦隊標的に攻撃の姿勢示す

ウクライナ国防省の情報総局は5日、ロシアが支配するクリミアとロシア南部を隔てるケルチ海峡の周辺で、4日夜から5日にかけて、複数の無人艇を使ってロシア海軍の哨戒艇「セルゲイ・コトフ」を破壊したとSNSで発表しました。

これについて、ウクライナのイエルマク大統領府長官は、「ロシアの黒海艦隊は占領の象徴だ。ウクライナのクリミアにいることは許されない」と投稿しました。

ウクライナ軍は2月にもクリミアの沖合でロシア軍の大型揚陸艦を沈没させたと発表していて、周辺で活動するロシア海軍を標的に攻撃を続ける姿勢を示したものです。

また、情報総局はロシア中部のサマラ州の鉄道にかかる橋で前日4日に起きた爆発についても投稿し、関与については言及しなかったものの、この路線は近郊にある工場で生産された弾薬を運ぶのに使われていたと指摘しました。

一方、ロシア国営のタス通信は5日、ウクライナと国境を接する西部のベルゴロド州にある石油貯蔵施設で爆発が起きたと伝え、ウクライナは軍事関連などのインフラへの攻撃も強めています。

ウクライナ首相 “復興に凍結ロシア資産を財源として活用を”

ウクライナのシュミハリ首相は4日、首都キーウで会見し、ウクライナの復興には巨額の資金が必要だとした上で、各国が凍結したロシアの資産を財源として活用すべきだという考えを改めて示しました。

会見の冒頭、シュミハリ首相は、ロシアの軍事侵攻開始からの2年余りで、各国からの支援は総額750億ドル以上、日本円でおよそ11兆円に上ると明らかにし、ことしは少なくとも日本円で5兆円余りが必要だという見通しを示しました。

その上で、「没収されたロシアの資産はわが国への支援、そして復興のための確かな資金源になる」と述べ、各国が制裁の一環として凍結したロシアの資産を財源として活用すべきだという考えを改めて示しました。

一方、アメリカによる新規の軍事支援が議会での与野党の対立から滞っていることについては、「支援の遅れはわれわれだけでなく、支援プログラムを進めているIMF=国際通貨基金にとってもストレスになっている」と強調し、早期の予算案の可決に期待を示しました。

さらにシュミハリ首相は2月、日本で開かれた、ウクライナの復興に向けた会議に言及し、「日本は非常に強力な支援をしてくれている。ほかのパートナーとの『行き違い』があったときも、踏み込んだ対応をしてくれた」と感謝の意を示しました。

NATO 欧州で冷戦終結後 最大規模の軍事演習公開

ロシアのウクライナ侵攻が続きヨーロッパで緊張が続く中、NATO=北大西洋条約機構は東西冷戦の終結後、ヨーロッパでの軍事演習として最大規模となる演習を報道陣に公開しました。

演習はウクライナの隣国のポーランドなどで行われていて、ロシアを強くけん制するねらいがあります。

NATOはヨーロッパの防衛力の強化のため、ことし1月から5月末まで9万人以上の兵士や1100両以上の戦闘車両などが参加する演習を行っていて、ヨーロッパでの演習としては東西冷戦の終結後、最大だと発表しています。

4日は、ウクライナの隣国のポーランドで行われている演習が報道陣に公開されました。

演習では、アメリカやドイツ、ポーランド軍などの戦車や装甲車が橋のない川を水陸両用車などにのって次々に渡り、大規模な部隊を迅速に展開するための連携を確認していました。

NATOは、ロシアを最も重大な脅威と位置づけ防衛力の強化を進めていて、今回の演習には抑止力を示してロシアを強くけん制するねらいがあります。

演習の立案に携わったドイツ軍のブリュークナー准将は、計画はロシアの軍事侵攻の前に始まったものの、侵攻を受けて規模が拡大したと明らかにした上で「NATOはロシアとテロという2つの脅威への備えを進めている。演習では現実の計画に欠陥がないか確認している」と話していました。