遺伝性認知症患者 治療法研究や治験参加へ新しい仕組み始まる

遺伝子の異常が原因で発症する遺伝性の認知症の患者が、新たな治療法の研究や治験などに迅速に参加できるよう、事前に患者を登録する新しい仕組みを信州大学などのグループが始めました。

アルツハイマー病や脳血管性の認知症など、さまざまな認知症には、遺伝子の異常が原因となる遺伝性の患者がいることが知られています。

「HED-TRC」と名付けられた新たな仕組みは、遺伝性の認知症の患者に事前に登録してもらい、新薬の治験などが行われる際に迅速に参加できるようにするもので、全国15の大学病院などで作るグループが始めました。

4日は、長野県松本市の信州大学医学部附属病院で最初の患者の登録が行われ、遺伝性の脳血管性認知症の50代の男性患者が医師から説明を受けたあと登録の手続きを行いました。

遺伝性の認知症は、遺伝子の異常を詳しく研究することで、認知症発症のメカニズムの解明や治療法の開発などにつながるとして注目されていますが、患者の数が少なく研究に参加してもらう患者を集めるのが難しいことが課題となっていました。

今回、登録した患者の男性は「自分だけでなく、多くの人にとってよい結果につながってほしい」と話していました。

研究の代表を務める信州大学医学部の関島良樹教授は「まずは遺伝性の認知症の方々の治療の力になることを目指すが、最終的には得られた成果を元に一般的な認知症の治療法の開発にもつなげたい」と話していました。