【詳細】“イスラエル代表団派遣せず” 交渉不透明

イスラエルとイスラム組織ハマスとの間の戦闘休止などをめぐる交渉について、イスラエルのメディアは、イスラエル側が3日は代表団を派遣しなかったと報じ、交渉が進展するのか不透明な状況が続いています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月3日の動きを随時、更新してお伝えします。

イスラエルメディア “イスラエルは代表団派遣していない”

エジプトのカイロには3日、ハマスの代表団や仲介役のカタールなどが到着して、ガザ地区での戦闘休止や人質の解放などをめぐる交渉が行われているとみられます。

ただ、イスラエルのメディアは、ハマス側が生存している人質のリストを示さなかったことなどを理由に、これまでにイスラエルは代表団を派遣していないと報じていて、交渉の先行きは見えていません。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、「ハマスはイスラエル軍のガザ地区からの完全撤退を求めている」と伝えています。

米副大統領 双方に合意強く求める イスラエルには“言い訳不要”

アメリカのハリス副大統領は、3日に南部アラバマ州で行った演説で、「ガザ地区の人々のはかりしれない苦しみを考えると、すみやかに停戦しなければならない」と述べ、イスラエルとハマスの双方に対して、アメリカも関わっている交渉での合意を強く求めました。

またガザ地区の状況について、「人道上の大惨事だ」としたうえで、「イスラエル政府はガザ地区への人道物資を大幅に増やすために、もっと多くのことをしなければならない。言い訳は不要だ」と述べ、これまでにない強い表現でイスラエル側の対応を求めました。

ガザ地区での死者 3万534人に

イスラエル軍は3日もガザ地区への空爆でハマスの主要メンバーの1人を殺害したと発表するなど、軍事的な圧力を強めていて、これまでの一連の衝突によるガザ地区での死者は3万534人に上っています。

イスラム教の断食月ラマダンが3月10日ごろに始まるまでに、戦闘の休止が実現し、ガザ地区の人道状況に一時的でも改善の兆しが見えるのか、見通せない状況が続いています。

“子ども15人が栄養失調などで死亡” 保健当局

ガザ地区で人道状況の悪化が続く中、現地の保健当局は3日、北部のカマルアドワン病院で、子ども15人が栄養失調と脱水症状で亡くなったとSNSに投稿しました。

保健当局は病院の集中治療室には、さらに栄養失調などで苦しむ6人の子どもがいるとしています。

ユニセフ=国連児童基金の中東・北アフリカ地域事務所のアデル・ホドル代表は3日、この病院で子どもたちが10人以上亡くなったとされていることについて、「悲劇的で恐ろしい死は人為的で完全に防げるものだ」とした上で、「ガザに残された数少ない病院のどこかで、命懸けで戦っている子どもたちがもっといるだろうし、北部では全く治療を受けられていない子どもたちがさらにいるだろう」と懸念を示しました。

そして、「医師と親たちの無力感と絶望感は耐え難いものであるに違いないが、ゆっくりと死んでいく赤ちゃんたちの悲痛な叫びは、もっとつらいものだ。何千の赤ちゃんや子どもたちの命が救われるかどうかは、いま緊急の行動がとられるかにかかっている」として、停戦と十分な量の支援物資が遅滞なく人々に届く必要性を改めて訴えました。

平和と停戦を求める声 相次ぐ

こうした中、エジプトのシュクリ外相は3日、訪問先のサウジアラビアで「パレスチナの問題の政治的解決に真剣に取り組まなければ、平和と安全、安定は得られない」と強調しました。

また、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇も、信者たちを前に「もうたくさんだ、戦争を止めてと声をあげよう」と呼びかけ、速やかな停戦の実現を訴えました。