東京マラソン西山雄介9位 設定記録切れず 大迫傑 五輪代表内定

パリオリンピックの男子マラソン最後の代表選考レースとなる東京マラソンが行われ、29歳の西山雄介選手が2時間6分31秒で日本選手トップの9位に入りましたが、設定記録を切ることはできませんでした。このため、去年の代表選考レースで3位に入った大迫傑選手が2大会連続のオリンピックマラソン代表に内定しました。

西山雄介 設定記録に及ばず 大迫傑がパリ五輪内定

東京マラソンは、パリオリンピックの男子マラソン代表をかけた最後の選考レースを兼ねて3日行われ、都庁前をスタートし、東京駅前をフィニッシュとするコースで争われました。

パリオリンピックの男子マラソン代表は、去年のMGC=マラソングランドチャンピオンシップで2人が内定し、最後の1人は設定記録の2時間5分50秒を切ることが条件となります。

レースは序盤から海外のトップ選手が先行する展開となり、日本記録保持者の鈴木健吾選手など有力選手が日本勢のトップ集団を形成して進みました。

33キロ付近 西山選手と浦野選手

27キロすぎに鈴木選手が遅れ、26歳の浦野雄平選手が集団から抜け出しますが、33キロすぎで、その浦野選手を西山選手が捉え、日本勢のトップに立ちました。

西山選手は、設定記録を目指して最後まで粘りの走りを見せ日本勢トップの9位でフィニッシュしましたが、タイムは2時間6分31秒で、設定記録に41秒及ばず、パリオリンピックの代表内定はなりませんでした。

この結果、MGCで3位に入った大迫傑選手が6位に入賞した東京オリンピックに続き、2大会連続のオリンピックマラソン代表に内定しました。

優勝は、ケニアのベンソン・キプルト選手でタイムは2時間2分16秒でした。

一方、女子は日本記録更新を目指した36歳の新谷仁美選手が日本勢トップの6位に入りましたがタイムは2時間21分50秒で記録更新はなりませんでした。優勝はエチオピアのストゥメ・アセファ・ケベデ選手でタイムは2時間15分55秒でした。

西山雄介「五輪 行きたかったのひと言」

日本勢トップの9位でフィニッシュしたものの、オリンピックの代表内定を逃した西山雄介選手は「やっぱりオリンピックに行きたかったのひと言です」と無念の思いを口にしました。設定記録の2時間5分50秒のタイムについては「ねらえるタイムだし、それだけの練習もしてきて絶対に切れる自信もあった。結果的に全然だめで、僕自身最後のオリンピック挑戦と決めていたので非常に悔しい」と話しました。

また、レース中の設定記録への意識については「30キロすぎには、まだまだ行ける感覚があった。35キロを過ぎてから体が動かなくなってきたが、最後にゴールするまで諦めない気持ちでいたので、必死で5分50秒を目指して走った」と振り返りました。そのうえで「自分の挑戦が終わってしまったというのが本当に悔しい」目に涙を浮かべながら話していました。

日本陸連 瀬古利彦氏「五輪に向け3人を全力で応援」

レース後の会見で日本陸上競技連盟の瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダーは「残念ながら2時間5分50秒の設定記録を切る選手はいなかったが、全員がオリンピックを目指して頑張ってきたことは評価したい」と男子のオリンピック代表選考レースを総括しました。

そのうえで「MGCで1位、2位の小山直城選手、赤崎暁選手、あと3人目の大迫傑選手はどう返事するかわからないが、決まったら、パリオリンピックに向けて3人を全力で応援したい」と話しました。

最後の1人に内定した大迫選手については「オリンピック経験者は彼しかおらず、ほかの2人にアドバイスができるのは大迫選手しかいないので、3人目に入ってもらい、マラソンのメンバーを引っ張ってもらいたい」と期待を寄せていました。

日本陸連 高岡寿成氏「マラソン界の底上げができている」

日本陸上競技連盟の高岡寿成シニアディレクターは「西山雄介選手が自己ベストを更新し、日本選手トップでありながら悔し涙を流す姿を見て、まだまだ日本のマラソンは強くなれると感じた。多くの選手が設定記録の2時間5分50秒を目指すことができたので、記録こそ出なかったが、マラソン界の底上げができているのではないか」と話していました。

◆パリ五輪内定 大迫傑選手 これまでの実績

2023年 MGC

大迫傑選手は東京都出身の32歳。2018年と2020年の2回にわたって男子マラソンの日本記録を更新するなど数々の実績を誇るランナーです。

長野の佐久長聖高校や早稲田大学では駅伝で活躍し、卒業後は実業団に進み、2015年にプロ選手としてアメリカに渡りました。2016年のリオデジャネイロオリンピックには1万メートルと5000メートルで出場しました。

マラソンでは2018年のシカゴマラソンで、日本選手初の2時間5分台となる2時間5分50秒の当時の日本記録をマークしました。
2019年に行われた東京オリンピックのマラソン代表選考レース、MGC=マラソングランドチャンピオンシップでは3位となり、翌年の東京マラソンで、再び日本記録を更新する2時間5分29秒のタイムを出して東京大会の代表に内定しました。

東京大会では6位に入賞しその後、引退を表明しましたが、現役復帰して去年行われたMGCでは再び3位に入りました。

今回の東京マラソンは欠場しましたが、設定記録を切る選手が出なかったため、大迫選手がパリオリンピックのマラソン代表に内定しました。