新年度予算案 衆院本会議で可決 年度内に成立へ

一般会計の総額が112兆円余りとなる新年度予算案は衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。予算案は憲法の規定により、年度内に成立することになりました。

一般会計の総額が112兆円余りとなる新年度予算案は、採決をめぐる与野党の攻防が1日夜の11時半ごろまで及んだことから、土曜日の2日、衆議院予算委員会で可決された後、衆議院本会議で採決が行われました。

土曜日の日中に審議が行われるのは異例です。

採決に先立つ討論で自民党の上野賢一郎氏は「能登半島地震の被災地の復旧復興への切れ目ない対応や、物価高に負けない賃上げの実現に向けた対応を最大限図るため、予算案の速やかな成立が求められる」と述べました。

一方、立憲民主党の伊藤俊輔氏は「物価・賃上げ促進予備費を1兆円計上している。必要性や合理性が十分に説明できない予備費は財政民主主義の観点から一刻も早く正常化すべきで、予算案に断固反対する」と述べました。

このあと、記名投票による採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組などは反対しました。

予算案は衆議院を通過すれば、憲法の規定により、参議院で採決が行われない場合でも30日がたてば自然成立するため、年度内に成立することになりました。

予算案は来週から舞台を参議院に移して審議が行われます。

岸田首相「被災地の生活となりわいの再建に不可欠」

岸田総理大臣は午後6時前、総理大臣官邸で記者団に対し、「与党をはじめ関係者の尽力に心から感謝申し上げる。予算案には物価高に負けない賃上げを実現するための施策が盛り込まれている。『こども未来戦略』に基づく加速化プランをスピード感をもって実施するために必要な予算でもあり、1兆円に増額した予備費を含め、被災地の生活となりわいの再建に不可欠なものでもある。引き続き、参議院での審議にも丁寧に臨み、早期の成立に向けて努力を続けたい」と述べました。

自民 茂木幹事長「予算案を1日も早く成立させ早期の執行図る」

自民党の茂木幹事長は「年度内の成立が確実となるタイミングで衆議院で可決することができた。予算案には能登半島地震からの復旧・復興、物価高対策など、わが国が直面する内外の諸課題に対応するさまざまな施策が盛り込まれている。政府・与党一丸となり、予算案を1日も早く成立させ、早期の執行を図っていきたい」とコメントを出しました。

立民 泉代表「最終的には野党全党が反対」

立憲民主党の泉代表は「与党は数の力で予算案を通そうと、31年ぶりに異例の土曜日に予算委員会と本会議で採決した。ただ、説明できない予備費や少子化対策の支援金の不十分な質疑、そして裏金問題など、野党が結束して予算案に問題があると訴え、最終的には野党全党が反対した。参議院でも徹底審議を求め、自民党には裏金問題の説明とともに、誠実な審議をしてほしい」と述べました。

また、予算案が可決されたあと、岸田総理大臣があいさつに訪れた際にその場にいなかったことについて、「大変遺憾な土曜日の国会で、出席したくないのでしなかった」と述べました。

維新 馬場代表「構造的な抜本改革に取り組む姿勢見受けられず」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で、「能登半島地震の復興や、大阪・関西万博の予算にはもろ手を挙げて賛成するが、構造的な抜本改革に取り組む姿勢が予算案の中に見受けられない。新しい国の形をつくる観点で予算を組まなければ、国民に夢や希望を持ってもらうことは非常に厳しい」と述べました。

また、馬場氏は「自民党は来週月曜日もきちんと議論して、一定の審議時間数を超えた段階で採決を行う手法をとるべきだった。予算案の年度内成立にこだわる自民党のいこじな考え方と、多くの人の時間を浪費してでもそれを阻止したい立憲民主党の姿勢が激突して、非生産的な国会になった」と述べました。

公明 山口代表「年度内成立のリミットで見通しが立ち安ど」

公明党の山口代表は訪問先の福島県浪江町で、「能登半島地震に対応するための財源も含まれた予算案なので、年度内成立、自然成立のリミットで見通しが立ち、大変、安どしている。成立後は一刻も早く被災地のために有効に生かしていきたい」と述べました。

一方、審議のあり方について、「立憲民主党は土壇場で小野寺予算委員長の解任決議案や鈴木財務大臣の不信任決議案を連発して提出し、いたずらに時間を遅らせたことがどれほどの意味があったのか考えていただきたい」と述べました。

共産 田村委員長「審議の異常な強行で採決 強く抗議」

共産党の田村委員長は記者団に対し、「きのうからの審議の異常な強行により、予算案が採決されたことに強く抗議したい。『裏金』の真相を解明せず、予算案の中身についての審議時間が制限された責任は、ひとえに自民党にある。軍事最優先で、少子化対策の支援金制度で国民負担をさらに増やそうという予算案の中身も非常に問題で、参議院でも十分な時間をとって論戦を行わなければならない」と述べました。

国民 玉木代表「岸田政権は言うこととやることが違う」

新年度予算案に反対した国民民主党の玉木代表は「5月1日以降のガソリン値下げの対策が入っておらず、中小企業は負担が上がることになると、賃上げに踏み込めない。岸田政権は言っていることとやっていることが違っており、このままでは中小企業の賃上げに水を差しかねず問題だ。また、政治とカネの問題で全容の解明が行われず、誰も責任を取らない状況の中で採決を強行したことは国民の理解は得られない」と述べました。

土曜日に採決 31年ぶり

新年度予算案の審議をめぐり、土曜日に予算委員会と本会議で採決をしたのは1993年3月6日以来、31年ぶりとなります。一方、2007年や2019年には金曜日に委員会で採決したものの、本会議の採決が翌土曜日の未明や早朝となった例があります。

参院予算委 4日と5日に質疑

参議院予算委員会の理事懇談会が開かれ、4日と5日の2日間、岸田総理大臣とすべての閣僚に出席を求めて質疑を行うことを決めました。

衆院予算委 賛成多数で可決

衆議院予算委員会は、一般会計の総額が112兆円余りとなる新年度予算案の採決をめぐる与野党の攻防が昨夜の11時半ごろまで及んだことから、土曜日の2日、岸田総理大臣らに出席を求め、1日にできなかった分の質疑を行いました。

締めくくりの質疑で立憲民主党の石川香織氏は「土曜日朝からの異例の予算委員会は、そもそも自民党が政治資金問題の『脱税疑惑』を真正面から説明してこなかったことが混乱のもとだ。強引に進めようとする予算審議の道筋は身勝手極まりない」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「1兆円に倍増した予備費には被災地での仮設住宅の引き渡し時の費用など、年度明け早々直ちに執行が想定されるものも含まれている。被災自治体からも早期の衆議院通過の要望が多く寄せられており、年度内成立をぜひお願いしたい」と強調しました。

このあと、予算案の採決が行われ、自民・公明両党の賛成多数で可決されました。

立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党などは反対しました。

予算案は衆議院本会議でも賛成多数で可決されて参議院に送られる運びです。

予算案は衆議院を通過すれば、憲法の規定により、参議院で採決が行われない場合でも30日がたてば自然成立するため、年度内の成立が確実になりました。

2日昼すぎ

きょう午後 衆院採決で合意 年度内の成立確実に

新年度予算案の採決をめぐり、自民党の浜田国会対策委員長と立憲民主党の安住国会対策委員長が2日昼すぎ、国会内で会談しました。

この中で両氏は新年度予算案について、2日午後、衆議院本会議で採決することで合意しました。

一方、予算案が成立したあと、衆参両院で予算委員会の集中審議を行うことや、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けた参考人招致などの協議を続け、議員から政治倫理審査会への申し出があった場合は弁明と質疑を行うことを申し合わせました。

また、4月以降、衆議院に政治改革を議論するための特別委員会を設置することを申し合わせました。

予算案は衆議院予算委員会での締めくくりの質疑の後、委員会と本会議で採決が行われ、与党側の賛成多数で可決されて参議院に送られる運びです。

予算案は衆議院を通過すれば、憲法の規定により、参議院で採決が行われない場合でも30日がたてば自然成立するため、年度内の成立が確実になりました。

自民 御法川国対委員長代理「ギリギリのところで交渉」

自民党の御法川国会対策委員長代理は記者団に対し、「こちらの意図や目標とする部分と野党側の部分が対立して、かなりギリギリのところで交渉してきた。単に勝った負けたという話ではなく、野党にわれわれの意図を理解いただき、国会全体として進めていけることになった」と述べました。

立民 安住国対委員長「ある程度取れるものは取った」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に、「とにかく『政治とカネ』の問題を継続して追及していくことが大事だ。もう少し頑張りたかったが、自民党との間である程度取れるものは取ったので『この辺だ』と判断した。野党4党がすべて新年度予算案に反対することになり、このエネルギーを参議院での審議と政治改革の特別委員会にぶつけていく」と述べました。

一方、安住氏は浜田氏との会談で、新たに5人程度の自民党議員が政治倫理審査会での弁明を申し出ていると伝えられたことを明らかにしました。

その上で、「浜田氏とは今後の審査会の出席について国会対策委員会で縛らないと約束した。来週以降、条件が整えば随時、審査会を開催することになると思う」と述べました。

そして、「きのうの審査会を見ていると話が矛盾している。安倍派の事務総長経験者の下村・元政務調査会長が非常に重要で、野党が一致して参考人招致などを要求していくことになる」と述べました。