WTO閣僚会合 閣僚宣言採択し閉幕 各国の意見の隔たり埋まらず

UAE=アラブ首長国連邦で開かれていたWTO=世界貿易機関の閣僚会合が閣僚宣言を採択して閉幕しました。WTOは貿易をめぐる紛争解決の制度の機能不全が続いていますが、今回の会合でも各国の意見の隔たりは埋まりませんでした。

164の国と地域が参加するWTOの閣僚会合は、2月26日から3月2日の未明までUAE=アラブ首長国連邦のアブダビで開かれ、閣僚宣言を採択して閉幕しました。

WTOでは貿易をめぐる紛争を解決するため、裁判所のような役割を担う「1審」と「最終審」からなる手続きがありますが、アメリカが最終審にあたる「上級委員会」の委員の選任に反対し、機能不全に陥っています。

今回の会合では状況の打開に向けて、この制度の改革が焦点となっていましたが、発表によりますと、「年内に完全に機能する制度の実現」を目指すと改めて確認したものの、日本やEU=ヨーロッパ連合と、アメリカなどとの意見の隔たりは埋まらず、具体的な進展はありませんでした。

ただ、最終審に上訴され、いわゆる「塩漬け」となった紛争の案件が去年12月までに24件あることから、こうした問題の解決に向けて取り組むことで一致したとしています。

このほか、今回の会合では、▽東ティモールと▽インド洋の島国、コモロの加盟が正式に承認され、およそ8年ぶりに新たな加盟国を迎えることになりました