地震で被害 県立輪島高校が金沢市で卒業式 校長がエール

能登半島地震で被害を受けた石川県輪島市の県立高校の卒業式が金沢市に場所を変更して行われ、久しぶりに再会した卒業生たちが新たな門出を迎えました。

輪島市の県立輪島高校は、能登半島地震で体育館の一部が壊れ、3年生のおよそ3分の2が市外に避難していることなどから、会場を金沢市の県立音楽堂に変更して1日卒業式を行いました。

卒業するのは全日制と定時制合わせて107人で、1日は生徒たちが避難先などから集まって久しぶりに再会しました。

式の前には全員で黙とうし、このあと卒業生がステージに上がって平野敏校長から卒業証書を受け取りました。

平野敏校長「いつの日か帰っておいで」

式辞の中で、平野校長は「コロナ禍ではみんなで工夫して乗り越えることを学び、地震も起きて、みんなにこれ以上『頑張れ』とは言えませんが、前を向いていくしかありません。輪島に残るみんな、新しい街をつくろう。いったん輪島を離れるみんな、いつの日か帰っておいで。みんながびっくりするような街をつくって待っています」とメッセージを送りました。

卒業生代表 村本咲菜さん「ともに力強く歩んで」

卒業生代表の村本咲菜さんは「友人や先生たちと歩いた当たり前にあった景色を今となってはしっかりと目に焼き付けておけばよかったと心残りに思います。先の見えない大変な状況で不安も多いかもしれませんが、それを乗り越えるのが負けん気のある私たちです。高校で得た多くの思い出や学びを糧に、ともに力強く歩んでいきましょう」と答辞を読み上げました。

学校によりますと卒業生のうち就職などで地元に残るのは1割ほどで、およそ9割が進学や就職などで輪島市を離れる見込みだということです。

卒業する生徒「ここから復興してほしい」

大阪の大学に進学する女子生徒は「地震で離れている友達とSNSでは連絡していましたが、久しぶりに会って話せたのでとても楽しくうれしかった」と話していました。

県外の大学への進学を目指し、いずれは地元に戻りたいと考えているという男子生徒は「地震で家が被害を受けまだ安心して生活できる状況ではありません。輪島の強みである観光スポットも失われましたが、ここから復興してほしい」と話していました。