能登半島地震2か月 ボランティアなど活動時間制限が大きな課題

能登半島地震の被災地では、地震から2か月たった今も、倒壊したまま手付かずとなっている建物が多くあります。作業員やボランティアなどの宿泊場所が不足し活動時間が制限されているためで、大きな課題となっています。

石川県によりますと、県内で被害が確認された住宅の数は3月1日の時点で7万6000棟余りに上り、能登半島地震から2か月たった今も、倒壊したまま手付かずとなっている建物が多くあります。

復旧・復興を進めるためには、自治体の応援職員や、作業員、ボランティアなど多くの人手が欠かせませんが、今回の地震では各地で道路が寸断されたため、しばらく被災地にたどりつくことも難しい状況が続きました。

こうした影響もあり、珠洲市や輪島市といった能登半島の北部などでは倒壊した建物の撤去が進んでいません。

国土交通省によりますと、道路の緊急復旧は能登半島の主要な幹線道路のうちおよそ9割が1月中旬までに終了したほか、浄水場につながる道路などインフラの復旧に必要な道路についても、2月28日の時点で全体のおよそ8割に当たる35か所で完了したということです。

一方で、被災地では宿泊場所が不足し、作業が進まないもう一つの課題となっています。

国や県によりますと、被災地では、旅館やホテルなどが被災し、既存の宿泊施設を十分利用できません。

また、宿舎を建てようとしてもまとまった土地が少ないうえ、被災者の住まいの確保が優先して行われています。

このため作業に当たる人たちの多くは金沢市など離れた場所から日帰りで通わなければならず、活動時間が大きく制限されています。

こうした中、宿泊場所の確保に向けた取り組みが進められています。

このうち県は
▽穴水町で以前、中学校として使われていた体育館や教室を利用し、2月26日にボランティアの宿泊拠点を立ち上げたほか
▽能登空港の敷地に仮設のカプセルホテルなど支援者向けの宿泊施設を新たに整備することにしています。

また、県や自治体が「仮設宿泊所」を設置し、被災したホテルや旅館に運営してもらう取り組みも行われます。

国も対策に乗り出していて
▽石川県が宿泊場所を確保する際の財政支援を打ち出しているほか
▽キャンピングカーを手配できる窓口や、駐車できる候補地、仮設の宿泊設備を設置できる場所などの情報を集約してインフラの復旧を担う業界団体に共有しています。

松村防災担当大臣は「作業員やボランティアなど支援者の方々の宿泊施設や、拠点作りを進めていかなければ復旧・復興の加速を図ることができないため、今後早急に立ち上げていく必要がある」と話しています。

石川県内の被災した求職者 少なくとも855人

厚生労働省によりますと、仕事を求めて石川県内のハローワークを訪れた人のうち能登半島地震で被災した人の数を集計していて、2月22日までに少なくとも855人に上ったということです。

その人たちに勤務希望地を聞いたところ
▽輪島市や珠洲市などが41%と最も多く
▽金沢市や白山市などが28%
▽七尾市や志賀町などが18%などとなっています。

一方で、輪島市や珠洲市などの能登地域では地震で大きな被害を受けた事業所も多く、求人は低調となっています。

このため厚生労働省は、特に能登地域で短期や短時間を含めた求人を掘り起こして紹介する支援を進め、被災者が地元で自宅を再建しながら仕事ができる環境を整えたい考えです。