ネット上のひぼう中傷 事業者に迅速対応求める改正案 閣議決定

インターネット上でのひぼう中傷の書き込みをめぐり、政府は1日の閣議で、SNSなどを運営する事業者に対し迅速な対応などを求める法律の改正案を決定しました。

SNSや掲示板などインターネット上でのひぼう中傷の書き込みをめぐっては、被害を受けた人が削除を求める際、事業者側の窓口がわかりにくく申請が難しいことなどが指摘されています。

政府はこうした課題に対応するため、SNSや掲示板を運営する事業者に対し、迅速な対応などを求める法律の改正案を1日の閣議で決定しました。

改正案では一定規模以上の事業者に対して
▽書き込みの削除の申し出を受け付ける窓口を整備し、公表することや
▽削除する判断基準を策定し、公表すること
さらに
▽削除の申し出があった場合、一定期間内に削除するかどうかを決め、その結果を通知することなどを義務づけるとしています。

政府は今の通常国会での成立を目指していて、松本総務大臣は1日の閣議のあとの会見で「人を傷つけるひぼう中傷は許されないものであり、被害者の救済が進むとともに安心安全なインターネットの利用環境が整備されるよう期待している」と述べました。

政府の対策強化 その背景は

政府がインターネット上でのひぼう中傷対策を強化する背景には、その被害が深刻になり、社会問題となっていることがあります。

総務省が設置する違法・有害情報相談センターに寄せられたひぼう中傷などインターネット上のトラブルに関する相談件数は、昨年度1年間で5700件余りで、その10年前の2012年度と比べて2.4倍に増えています。

また、8年連続で5000件を上回っています。

昨年度1年間に寄せられた相談のうち67%は「削除方法を知りたい」というもので、事業者の削除にむけた対応を制度化することが大きな課題となっていました。

今回の法律の改正案では、対象になる事業者については平均のユーザー数や投稿数をもとに海外の事業者も含めて判断するとしていて、旧ツイッターのX、フェイスブックなどを運営するメタ、グーグルのほか、LINEヤフーなどが対象になるとみられます。