G20財務相・中央銀行総裁会議 閉幕 共同声明の採択至らず

ブラジル サンパウロで開かれていたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は日本時間の3月1日朝、閉幕しました。世界経済の先行きについてソフトランディング=軟着陸する可能性が高いという認識を共有したものの、ウクライナ情勢をめぐる立場の違いなどから共同声明の採択には至らず、G20の結束に課題を残しました。

2日間行われた会議では世界経済や、貧困と格差などをテーマに議論が行われ、世界経済の先行きについて、各国が進めた利上げが景気を冷やすといった不確実性もある一方、ソフトランディングする可能性が高いという認識を共有しました。

ただ、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる各国の立場の違いなどから共同声明の採択には至らずに議長総括を公表するにとどまり、今回も、G20の結束に課題を残しました。

ブラジル財務相「地政学的な課題 外相会合の場で議論を」

G20の議長国ブラジルのアダジ財務相は、会議の閉幕後の記者会見でロシアのウクライナ侵攻をめぐる各国の立場の違いなどから共同声明の採択に至らなかったことについて「先週のG20の外相会合で共通の文言に至らなかったことが合意の形成に影響した」と述べました。

そのうえで「われわれは紛争を非常に懸念し平和を望んでいるが、地政学的な課題は外相会合の場で議論すべきだ」として、ウクライナ侵攻などについては別の会合で議論することが適切だという認識を示しました。

日銀 植田総裁 “春闘の賃上げ状況など見極める”

日銀の植田総裁は、G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議が閉幕したあとの会見で、マイナス金利の解除など今の大規模な金融緩和策を転換する前提となる物価安定目標の実現の見通しを問われ「今のところはまだ見通せるまでには至っていない。見通せることの確認のためには、賃金と物価の好循環がうまく回り出しているかどうか確認する作業を続けていく」と述べました。

そのうえで「ことしの春期交渉は確認作業の中で一つの大きなポイントだ。労働側の要求が昨年を上回り、企業側も前向きの姿勢がかなりの企業から発せられていて注目している」と述べ、3月の春闘の集中回答の結果など賃上げの状況を見極めていく考えを示しました。

市場では、日銀が17年ぶりの利上げに当たるマイナス金利の解除に踏み切る時期は近いという見方が広がっていて、植田総裁の発言や判断への関心が高まっています。