銃をめぐる規制や罰則強化 銃刀法の改正案を閣議決定 政府

銃を使った凶悪犯罪が相次いでいることを受けて、政府は、これまでの銃刀法で拳銃などを対象に設けられていた「発射罪」を、猟銃やその他の銃にも適用することなど、銃をめぐる規制や罰則の強化を盛り込んだ銃刀法の改正案を閣議決定しました。

銃刀法では、「拳銃など」を対象に法定刑の上限が無期懲役の「発射罪」が設けられています。

一方、おととし7月、安倍元総理大臣が銃撃された事件では、被告の自宅から「拳銃」には分類されない手製の銃が押収されたほか、長野県で去年5月、警察官2人を含む4人が殺害された事件では「ハーフライフル銃」と呼ばれる猟銃が犯行に使われました。

銃が凶悪犯罪に悪用されるケースは、種類にかかわらず想定されるとして、政府は1日、銃の規制や罰則の強化を盛り込んだ銃刀法の改正案を閣議決定しました。

改正案では、従来の「拳銃など」に加えて「猟銃」や「空気銃などその他の銃」についても「発射罪」を新たに適用し、人を殺傷する目的でこれらの銃を所持した場合の法定刑も、拳銃などと同じ「懲役1年以上10年以下」に引き上げるとしています。

また、インターネットで銃の製造方法が容易に入手できる現状への対策が必要だとして、銃を製造して所持するようそそのかす内容の投稿を行うことについて、新たに罰則を設けます。

政府は今の通常国会での改正案の成立を目指すことにしています。

駆除にも使用「ハーフライフル銃」の規制は

今回の銃刀法の改正案には「ハーフライフル銃」と呼ばれる銃の規制強化も盛り込まれています。

猟銃の1種である「ハーフライフル銃」は射程がおよそ150メートルと、「散弾銃」の3倍ほどあり、所持するために厳格な基準がある「ライフル銃」に対して、狩猟免許の取得後すぐに所持することができます。

今回の改正案にはハーフライフル銃についても、許可の基準をライフル銃と同じ『猟銃を10年以上継続して所持している人』などに限定することが盛り込まれています。

一方、「ハーフライフル銃」は北海道でエゾシカやヒグマの駆除に使われることが多く、経験年数の浅い若手ハンターの多くが使用していることから、地元の団体から「駆除の担い手不足が深刻化する」などと、懸念の声もあがっています。

警察庁は、自治体の推薦がある場合や警察が実績を確認した場合など、許可の特例も設けて地域の獣害対策に支障が出ないようにしたいとしています。

松村国家公安委員長は1日の閣議後の会見で「ハーフライフル銃を必要とする人が、適切に所持の許可を受けられる運用にする。国会ですみやかに法案が審議され、早期に可決・成立することを期待する」と述べました。