【詳細1日】ガザ地区“物資待つ住民112人死亡”厳しい非難

ガザ地区で支援物資を待っていた100人以上の住民がイスラエル軍の攻撃で死亡したと現地の保健当局が発表したことを受け、国際社会からは停戦を求める声やイスラエルを非難する声が上がっています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月1日の動きを随時、更新してお伝えします。

ガザ地区の保健当局は29日、北部のガザ市で支援物資を運ぶトラックを待っていた住民がイスラエル軍に攻撃され112人が死亡し、760人がけがをしたと発表しました。

これに対し、イスラエル軍は上空から撮影されたとする映像を公開したうえで、暴徒化した住民を追い払おうと警告のため発砲したが、物資を求めて集まった人は攻撃していないと主張しています。

今回の事態についてロイター通信は、国連のグテーレス事務総長が真相を明らかにする調査が必要になるとの考えを示したと伝えています。

また、フランスのマクロン大統領は「恐ろしい状況だ。支援物資を配るため停戦を直ちに実現しなければならない」とSNSに投稿したほか、トルコ外務省は「支援の列に並ぶ罪のない市民を標的にしたことは、パレスチナの人々を消し去ろうとしている証拠だ」としてイスラエルを厳しく非難しました。

バイデン大統領 “戦闘休止の交渉 難しく”

一方、アメリカのバイデン大統領は29日、今回の事態について「2つの異なる説明がある」として、イスラエルを非難することは避けましたが、戦闘休止などをめぐる交渉を難しくするという認識を示しました。

そして、みずから期待感を示していた今月4日までの戦闘休止の実現はないだろうと説明するなど、交渉の行方への影響が注目されます。

戦闘が続き支援物資も滞るなかNHKガザ事務所のカメラマンが29日、南部ラファで住民の話を聞いたところ「停戦をしてほしい。1週間程度の休止では解決策にはならないので、停戦が必要だ」などと一刻も早い完全な停戦を求める声が聞かれました。

イタリア外相 “事実と責任 厳密に検証を”

G7=主要7か国の議長国、イタリアのタヤーニ外相は「イスラエルに対し、ガザ地区の人々を守るとともに事実と責任を厳密に検証するよう強く求める」とSNSに投稿したほか、トルコ外務省は「支援の列に並ぶ罪のない市民を標的にしたことは、パレスチナの人々を消し去ろうとしている証拠だ」としてイスラエルを厳しく非難しました。

さらに、国連のグテーレス事務総長も声明を出し、重要な人道支援がガザ地区のすべての人々に届くようにするため緊急措置を講じるよう呼びかけました。

国連安保理 深い懸念示す声明の発表見送り 米が同意せず

国連の安全保障理事会では29日夕方、日本時間の1日午前、対応を協議する緊急会合が開かれました。

会合はおよそ1時間半、非公開で行われ、詳しい内容は明らかになっていませんが、国連の外交筋によりますと、当初は理事国15か国が一致して深い懸念を示す声明を発表する方向でしたが、表現をめぐってアメリカが同意せず、この日の声明の発表は見送られたということです。

会合のあと、アメリカのウッド国連次席大使は記者団に対し「多くの報告があり、中には矛盾したものもある。われわれはすべての情報を集め最適な判断を下す必要がある」と述べ、事実関係の調査が必要だという考えを示しました。

そのうえで「安保理が出す声明などはいかなるものであっても、人質を救出しこの戦いを一時停止させようとする努力を阻害するものであってはならない」と述べ、イスラエルとハマスの交渉に悪影響が及ばないようにすべきだという考えを強調しました。

上川外相「早期沈静化に向け あらゆる努力を傾注」

上川外務大臣は閣議のあとの記者会見で「多数の民間人が死傷したことに大変心を痛めており、心から哀悼の意を表したい」と述べました。

そのうえで「連日、多数の子どもたちや女性、高齢者を含む死傷者が発生するなど、現地の人道状況はもはや看過し得ない危機的な状況にあると感じている。事態の早期沈静化に向けて外交努力を引き続き粘り強く行うなど、あらゆる努力を傾注していきたい」と述べました。