プーチン大統領 演説で軍事侵攻継続の姿勢強調 核戦力を誇示

ロシアのプーチン大統領は、29日に行われた年次教書演説でウクライナへの軍事侵攻を続ける姿勢を強調するとともに、ロシアの核戦力を誇示し、ウクライナへの支援を続ける欧米側をけん制しました。一方、EU=ヨーロッパ連合の報道官は「核兵器による脅しは容認できない」と非難しています。

ロシアのプーチン大統領は29日、モスクワ中心部のクレムリン近くで、内政や外交の基本方針を示す、年次教書演説を行いました。

このなかで、ウクライナへの軍事侵攻について「圧倒的な多数の国民から支持された」と述べ、正当性を主張するとともに、ロシア側が優勢だと強調し、侵攻の継続に対する国民の結束を訴えました。

また「ロシアの戦略核兵器の戦力は、確実に使用できるよう準備が完了している」と述べ、ロシアの核戦力を誇示したうえで、ウクライナへの支援を続ける欧米側をけん制しました。

こうした発言に対しEUの報道官は29日、「ウクライナへの戦争を始めたのはプーチン大統領で、世界への影響を含む全ての責任がある」と述べたうえで「核兵器による脅しは絶対に容認できず、不適切だ」として、プーチン大統領を非難しています。

一方、プーチン大統領は、去年のGDP=国内総生産の成長率が3.6%になったとして「ロシアの経済成長率は、EUの主要国を上回っただけでなく、G7=主要7か国のどの国よりも高くなった」と欧米からの制裁を受けていても経済は成長していると強調しました。

また、貧困率の引き下げや少子化対策に取り組む姿勢も示し、3月15日からの大統領選挙をにらみ、さらなる長期政権に向けて国民にアピールした形です。

ロシアの独立系新聞編集長 一時拘束 罰金刑に

プーチン政権に批判的な報道姿勢で知られるロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、編集長のセルゲイ・ソコロフ氏が当局に一時、拘束されたと明らかにしました。

ソコロフ氏は29日、モスクワで、ロシア軍の信頼を失墜させた疑いで拘束され、その後、モスクワの裁判所から、3万ルーブル、日本円にしておよそ5万円の罰金刑を科せられたということです。

「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長は、2021年にノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラートフ氏が長く務めていましたが、ムラートフ氏が去年、ロシア政府によって、外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定されたことなどから、ソコロフ氏が去年11月から編集長を務めていました。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるプーチン政権は、政権に批判的なメディアに神経をとがらせ、一段と圧力を強めています。