能登半島地震2か月 石川県 今も1万人超が避難所 住居確保課題

石川県で最大震度7の揺れを観測した能登半島地震の発生から3月1日で2か月です。今も1万人を超える人たちが避難所に身を寄せる中、被災者が落ち着いて生活できる住まいをいかに確保していくかが課題で、県は、水道や道路といったインフラの復旧や仮設住宅の建設などを急ぐことにしています。

元日に発生した能登半島地震で、石川県では、これまでに241人の死亡が確認され、今も7人の安否がわかっていません。

2月29日の時点で、避難所には1万1449人が身を寄せていて、このうち4733人は地元を離れて宿泊施設に2次避難しています。

自宅で断水が続いていることや、修理ができないことを理由に、家に戻れない人たちのほか、仮設住宅への入居を待つ人たちなどがいて、被災者が落ち着いて生活できる住まいをいかに確保していくかが課題となっています。

県は、水道や道路といったインフラの復旧作業とともに、仮設住宅の建設などを急ぎたいとしています。

また、被災地では、宿泊施設が営業できないことで、応援に入る職員やボランティアの滞在できる場所が少なく、活動できる時間が限られています。

県は、こうした人たちが支援活動にあたれる時間を増やしたいとしていて、宿泊の拠点となる施設をどう充実させるかも課題となっています。

断水の復旧は

石川県によりますと、能登半島地震による断水は、一時、最大でおよそ11万戸にのぼりましたが、復旧作業が徐々に進み、2月29日の時点では、7つの市と町で、およそ1万8800戸となっています。

自治体別にみると、ほぼ全域で断水しているのが、珠洲市のおよそ4650戸です。また、
▽輪島市がおよそ6640戸
▽七尾市がおよそ4000戸
▽能登町がおよそ2910戸
▽志賀町がおよそ270戸
▽穴水町がおよそ210戸
▽内灘町がおよそ200戸
で断水しています。

これらの地域では、主要な浄水場や施設に通じる道路が被災したうえ、各地域に水を送る配水管が広い範囲で損傷したことから、復旧に時間がかかっています。

県によりますと、多くの地域は3月中の仮復旧を見込んでいますが、珠洲市の一部では、仮復旧が4月以降になる見通しです。

暮らしに欠かせない水が使えないことで、住民は不自由な生活を強いられていて、事業の再開などの妨げにもなっています。

道路の復旧は

能登半島地震では、石川県の交通の「大動脈」と言える道路も大きな被害を受け、復旧には、なお時間がかかる見通しです。

このうち金沢市と能登半島を結ぶ「のと里山海道」は、20か所以上で大規模な崩落がありました。

仮復旧で、う回路を設ける工事などが進められていますが、緊急車両などを除いて日中の時間帯は通行止めとなっている区間や、全面的に通行ができなくなっている区間があります。

また、能登半島の沿岸を通る国道249号線は、大規模な土砂崩れなどの被害が多数残り、各地で寸断されています。

人員や物資の輸送に時間がかかる大きな要因となるなど、被災地の支援活動に影響が出ています。

避難者は今も1万人超

石川県によりますと、2月29日の時点で、合わせて1万1449人が避難所に身を寄せています。

▽1次避難所にいる人が5759人
▽地元を離れて宿泊施設に2次避難している人が4733人
などとなっています。

避難所に身を寄せている人は、発災直後のおよそ3分の1となった一方、この1か月での減少は3000人ほどにとどまり、避難所での生活が長期化している人が多くいます。

また、仕事や育児、家族の介護など、やむをえない事情で、倒壊のおそれがある自宅にとどまったり、車中泊を続けたりする人たちもいます。

安定した生活を送れる住まいの確保が必要で、慣れない環境での生活が長引くことで、病気が悪化したり、体調を崩したりして亡くなる「災害関連死」を防ぐための支援も求められています。

住まいの確保は

石川県は、被災者の生活再建に向け仮設住宅の建設を急いでいます。2月までに着工した戸数はおよそ3500戸で、このうち、およそ300戸が完成しました。3月末までの着工戸数は、4600戸になる予定だとしています。

一方、仮設住宅への入居希望は、これまでに7000件を超えています。追加の建設が必要となるなか、速やかに用地を確保して着工につなげられるかが課題となっています。

仮設住宅以外にも、石川県は、民間の賃貸住宅を活用する「みなし仮設」や、公営住宅への入居のほか、自宅を修理して戻るなどの選択肢を示し、住まいの確保を支援しています。