国内で約1世紀ぶり“新属”の植物「ムジナノショクダイ」発見

キノコのようにも見える奇妙な花を付けた植物が鹿児島県で見つかり、新種というだけでなく、種の上位にあたる「属」のレベルでも全く新しいものであることがわかりました。専門家は「日本の植物研究の歴史で、1世紀ぶりとも言える快挙だ」と話しています。

神戸大学大学院の末次健司教授らの研究グループによりますと、おととし、鹿児島県の大隅半島の山中でキノコのようにも見える直径1.5センチメートルほどの奇妙な形の花を付けた植物が見つかりました。

光合成をしないことで知られるユニークな植物「タヌキノショクダイ」に似ていましたが、詳しく調べたところ、花がヒトデのように放射状に広がっていることや、花の中で6つの雄しべが1本ずつ垂れ下がって雌しべと接しているなど、異なる点が確認されました。

DNAの解析でも遺伝的に大きな差が見られ、この植物は新種というだけでなく、種の上位にあたる「属」と呼ばれるレベルでも全く新しいものであることがわかりました。

この植物は大部分が地中に埋まっていることから、研究グループは地下を住みかとするアナグマ=ムジナにちなんで「ムジナノショクダイ」と命名し専門誌に発表しました。

国内で新たに見つかった植物が新種だけでなく新属として発表されたのは1930年以来、およそ1世紀ぶりということで、末次教授は「植物の調査が世界的にも進んでいる日本で新属・新種が見つかることは非常にまれで、奇跡に近い。日本の植物研究で歴史的な快挙と言える」と話していました。