がん患者の遺伝子検査 治療薬の候補発見は約15%にとどまる

手術や抗がん剤などの標準的な治療を終えたがん患者に対して行われる遺伝子を幅広く調べて最適な薬を探す検査について、国立がん研究センターが国内の4万8000人余りのデータを調べた結果、候補となる治療薬が見つかった人は、およそ15%にとどまることが分かりました。研究グループはがんの種類によっては治療薬が少ないことなどが背景にあるとして治療薬の開発を期待したいとしています。

日本では、手術や抗がん剤などの標準的な治療を終えたがん患者に対し、遺伝子を幅広く調べて最適な薬を探す「がん遺伝子パネル検査」が5年前から公的な保険で受けられるようになっています。

国立がん研究センターのグループが国内でこの検査を受けた4万8627人のデータを分析したところ、候補となる治療薬が見つかる割合は15.3%にとどまることが分かりました。

研究グループは
▽甲状腺がんでは85.3%
▽浸潤性乳がんでは60.1%など
薬が見つかる割合が高いがんがある一方で
▽唾液腺がんでは0%
▽脂肪肉腫では0.3%などと
治療薬が少なく薬が見つからないがんが多くあることが背景にあるとしています。

日本のがん患者の遺伝子検査の結果を大規模に分析した研究は今回が初めてで、国立がん研究センター研究所分子腫瘍学分野の片岡圭亮分野長は、「患者数が少ないがんで薬の開発が進まないことなどが大きな差につながっている。欧米での分析結果との比較で人種による差があることもわかったので、さらなる薬の開発を期待したい」と話しています。