衆院予算委“新年度予算案あす採決”小野寺委員長が職権で決定

新年度予算案をめぐり、衆議院予算委員会の理事会で、自民党の小野寺委員長は、3月1日に委員会で集中審議と締めくくりの質疑を行ったあと、採決することを職権で決めました。

新年度予算案を審議している衆議院予算委員会は29日、採決の前提となる中央公聴会を開きました。

このあと、29日夕方の理事会で、与党側は能登半島地震に対応するための予備費が盛り込まれている予算案の年度内の成立を確実にするため、3月1日に集中審議と締めくくりの質疑を行ったあと、委員会と本会議で採決する日程を改めて提案しました。

これに対し、野党側は審議が尽くされていないなどとして反対し、折り合いませんでした。

このため、自民党の小野寺委員長は、与党の提案どおり、3月1日に委員会で集中審議と締めくくりの質疑を行ったあと採決することを職権で決めました。

このあと、衆議院議院運営委員会の理事会が開かれ、自民党の山口委員長が3月1日、予算委員会に続き、本会議でも採決することを職権で決めました。

憲法の規定により、衆議院を通過して30日たてば参議院で採決が行われなくても自然成立するため、与党側は3月1日に衆議院を通過させ年度内の成立を確実にしたい考えです。

野党側は強く反発していて、立憲民主党など4党の国会対策委員長が急きょ会談して対応を協議し、与党側の強引な対応は認められないという認識で一致しました。

自民 加藤前厚労相「被災地からの声 対応していく必要」

衆議院予算委員会で与党側の筆頭理事を務める自民党の加藤前厚生労働大臣は記者団に対し「能登半島地震の被災地からは『政治とカネの問題も大事だが、復旧・復興につなげるため一日も早く予算案成立の見通しを示すべく、衆議院の通過を図ってほしい』という声が出ていたので、しっかり対応していく必要がある」と述べました。

自民 御法川国対委員長代理「被災地に安心していただくため」

自民党の御法川国対委員長代理は記者団に対し「ここまでしっかりと新年度予算案や政治とカネについての議論を行ってきた。能登半島地震の被災地の復興・復旧もあり、年度内に予算案を成立させ、安心していただくための一つのやり方として、非常に心苦しいが、委員長の決断であすの委員会で採決させていただくこととした」と述べました。

立民 山井国対筆頭副委員長「動機が不純だ」

衆議院予算委員会で野党側の筆頭理事を務める、立憲民主党の山井国会対策筆頭副委員長は、記者団に対し「与党側が予算案の強行採決を決めたが、とんでもないことだ。私たちは予算案の成立を阻止するつもりは全くなく、審議にも協力してきた。与野党協力して『裏金問題』の真相究明をしようと言っているやさきになぜ採決する必要があるのか。『裏金問題』の幕引き以外のなにものでもなく、動機が不純だ」と述べました。

立民泉代表「強行採決は多数の横暴」

立憲民主党の泉代表は記者団に対し「政治倫理審査会と予算委員会を同時にやるのは無理だ。勝手に決めた期限が来たからといって、予算案を強行に採決をするのは、多数の横暴で慎重審議でも何でもない。議会の民主主義を壊す、ひどいやり方で、当然、認められない。あすの朝、緊急の役員会なども開いて対応を協議していきたい」と述べました。

立民 安住国対委員長「対抗措置を取らざるをえない」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「疑惑にフタをして強行採決するということだからわれわれとして対抗措置を取らざるをえない。あすの朝、党の緊急役員会を開催し、どういう対応をとるか決めたい」と述べました。

そのうえで「常識的に話し合って、きちんとやれば済む話だったのに、『自分が政治倫理審査会に出席して泥をかぶったんだから、強行でやれ』と上に立つ人間が指示したのではないかと疑っている。そうだとすれば最低の総理大臣だ」と述べました。

維新 遠藤国対委員長「真摯(しんし)に向き合う姿勢を」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は記者団に対し、「自民党の浜田国会対策委員長には、政治に対する疑念を生じさせた原因は自民党にあるのだから、野党と真摯に向き合う姿勢を見せてほしいと依頼した。一方で、野党が審議拒否したり、委員長の解任決議案などを乱発したりすれば、国民から何をしているんだと思われかねない。時間のある限り徹底して議論を深めることが野党のあるべき姿だ」と述べました。