能登半島地震 あすで2か月 石川県内 約1万8800戸で断水続く

能登半島地震から3月1日で2か月となります。石川県内では能登地方を中心におよそ1万8800戸で断水が続いていて、住民は不自由な暮らしを余儀なくされています。

このうち、地震で大きな被害を受けた珠洲市は市役所や総合病院などがある中心部をはじめ、市内のほぼ全域のおよそ4650戸で断水が続いていて、市内には給水所が9か所設置されています。

このうちの野々江町の体育館の敷地内にある給水所を訪れていた船橋将さん(35)は、妻と2人の娘とともに市内のアパートで在宅避難の生活を続けています。

1度の給水で持ち帰ることのできる水の量は20リットルと限られるため、▽食事をするときは皿にラップをかけるなどして洗い物が少なくなるよう工夫したり、▽トイレに袋を取り付け凝固剤を入れて使ったりと、節水を心がけているといいます。

地震から3月1日で2か月となりますが、水道の復旧の見通しが立たず知り合いの多くが地元を離れるなか、今後もここで生活を続けられるか不安を感じているといいます。

船橋さんは「とどまることに不安はありますが、これまでの生活や職場を変えることも簡単ではなく、なかなか結論は出ません。一番に望むのは、水道が復旧し避難した娘の仲のよい友達も戻ってきて地震の前の暮らしを取り戻すことです」と話していました。

珠洲市は来月上旬には、総合病院や避難所の一部など主な施設の断水を解消したいとしていますが、各家庭へ供給する配水管の工事はまだしばらく時間がかかるということです。

復旧工事の支援に入っている、名古屋市上下水道局の稲田覚史水道隊長は「被災した浄水場の復旧工事はおおむね終えました。現在、配水管の修理を進めていて、一日でも早く家庭に水を届けたいと思います」と話していました。

介護現場にも深刻な影響

長引く断水は、介護の現場にも深刻な影響を及ぼしています。

石川県珠洲市にある特別養護老人ホームでは建物の被害に加えて長引く断水で、衛生環境を保つのが難しいとして入所者を徐々にほかの施設に移してきました。

地震が起きる前およそ100人いた入所者は、現在8人にまで減っています。

施設では浴槽やボイラーなどを積んだ訪問入浴車を使って今月から入浴を再開しましたが、回数は週2回から1回に減らしているということです。

また、食事も管理栄養士と相談しながら無洗米や缶詰などを活用して水を節約しています。

施設には水道が復旧したら入所したいという問い合わせも寄せられているということですが、およそ2割の職員がすでに退職したり、退職の意向を示したりしていて、どこまで応じられるか不安を抱えています。

特別養護老人ホーム「長寿園」の横山博一副施設長は「地震で自宅が壊れ、避難所から通っている職員もいます。医療現場やボランティアの力も借りながら水道の復旧までなんとか頑張りたいと思います。移っていった入所者全員が戻ってくれるかわかりませんが、地域の福祉を担える施設を取り戻したいです」と話していました。