プーチン大統領 年次教書演説 “ロシア軍が攻勢”戦果を強調

ロシアのプーチン大統領は、日本時間の29日夜、内政や外交の基本方針を示す年次教書演説で、3年目に入ったウクライナへの軍事侵攻について「ロシア軍が主導権を握っている。さらに多くの領土を解放している」と述べ、ロシア軍が攻勢を強め戦果を得ていると強調しました。
また、ロシアの核戦力を誇示するなど、ウクライナへの支援を続ける欧米側を強くけん制しました。

ロシアのプーチン大統領は、日本時間の29日夜6時すぎからモスクワ中心部のクレムリン近くで、2時間以上にわたって年次教書演説を行いました。

このなかで、プーチン大統領はウクライナでの戦況について「ロシア軍が主導権を握り、多くの作戦地域で前進し、さらに多くの領土を解放している。われわれが戦争を終わらせ、ナチズムを根絶し、すべての目標を達成する」と述べ、前線ではロシア軍が攻勢を強め戦果を得ていると主張し、軍事侵攻を続ける姿勢を改めて強調しました。

また「ロシアの戦略核兵器の戦力は確実に使用できるよう準備が完了している」と述べ、ロシアの核戦力を誇示し、ウクライナへの支援を続ける欧米側を強くけん制しました。

そして、ヨーロッパで、フィンランドに続きスウェーデンもNATO=北大西洋条約機構への加盟が決まったことに関連し「脅威を無力化する」としてロシア西部での軍事力を強化する考えを明らかにしました。

一方、プーチン大統領は、ロシアはアメリカと戦略的安定の分野で対話する用意はあるものの、まずはアメリカが姿勢を改めるべきだとして米ロ関係にも言及したほか「安定した世界秩序は強いロシアなしでは不可能だ」とも述べ国際社会の安定にはロシアの存在は欠かせないと強調しました。

プーチン大統領は、3月15日から大統領選挙が行われるのを前に、ウクライナへの軍事侵攻も含めてみずからの実績だと強調することでさらなる長期政権に向けて政権基盤を固めたいねらいとみられます。