衆院予算委 中央公聴会 経済政策や賃上げなど専門家が意見

衆議院予算委員会は新年度予算案について専門家から意見を聞く中央公聴会を開き、午前中は各党が推薦した4人の専門家が経済政策や賃上げなどで意見を述べました。

このうち、自民党が推薦した大和総研副理事長の熊谷亮丸 氏は経済政策について、「日本経済は設備投資の量が足りないので、しっかりと増やしていく。そして、賃上げを起点にして生産性を向上し、実質賃金を上げるような好循環を起こすことが大切だ。さらに、全世代型社会保障改革などで国民の将来不安を解消し、消費を押し上げるような対応も必要だ」と述べました。

立憲民主党が推薦した連合事務局長の清水秀行 氏はことしの春闘について、「中小企業が去年を上回る賃上げを実現するには、大企業との価格交渉が必要であり、公正取引委員会から価格交渉に関する指針が示されたのは大きな前進だ。政府には中小企業がちゅうちょなく交渉できるよう、指針の実効性を高める取り組みを求めたい」と述べました。

公明党が推薦した日本大学文理学部教授の末冨芳 氏は子育て政策について、「子育て支援の特別会計は子どもや若者への応援が見える化され、高い意義がある。支援金制度も多様な財源の一つとして意義があるが、若い世代への負荷を高めることには慎重な判断をお願いしたい。省庁横断で当事者のニーズを調べ、政策効果を精査できる状態にしてもらいたい」と述べました。

共産党が推薦した全労連議長の小畑雅子 氏は賃上げについて、「日本経済を長期にわたる停滞から好循環に転換させるためには国民の消費・購買力を高める必要があり、最低賃金の改善が大切だ。最低賃金の低い地域では経済が疲弊している。地域ごとではなく、全国一律で1500円以上となるよう法改正などの取り組みを求めたい」と述べました。

新年度予算案 採決日程で与野党の攻防続く

一方、新年度予算案をめぐっては、衆議院予算委員会の理事会で、与党側が年度内の成立が確実になる今週中に衆議院を通過させるため、3月1日に集中審議と締めくくりの質疑を行ったあと、委員会と本会議で採決する日程を改めて提案しました。

これに対し、野党側は審議時間が十分でないうえ、政治倫理審査会と並行して集中審議を行うべきではないなどとして、今週中の採決には応じられないと主張し、与野党の攻防が続いています。

林官房長官「予算案 一日も早い成立へ真摯(しんし)に対応」

林官房長官は午前の記者会見で、「令和6年度予算案は能登半島地震の復旧・復興に向けて切れ目のない対応に万全を期すための予算であるほか、少子化対策や防衛力の抜本的な強化への取り組み、物価上昇を上回る賃上げの実現など、足元の喫緊の課題に対応し、国民生活に直結するさまざまな予算が盛り込まれている。政府としては一日も早い成立に向けて、国会審議に真摯に対応していきたい」と述べました。