【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月29日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる29日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 年次教書演説 “ロシア軍が攻勢”戦果を強調

ロシアのプーチン大統領は、日本時間の29日夜6時すぎからモスクワ中心部のクレムリン近くで、2時間以上にわたって年次教書演説を行いました。

このなかで、プーチン大統領はウクライナでの戦況について「ロシア軍が主導権を握り、多くの作戦地域で前進し、さらに多くの領土を解放している。われわれが戦争を終わらせ、ナチズムを根絶し、すべての目標を達成する」と述べ、前線ではロシア軍が攻勢を強め戦果を得ていると主張し、軍事侵攻を続ける姿勢を改めて強調しました。

また「ロシアの戦略核兵器の戦力は確実に使用できるよう準備が完了している」と述べ、ロシアの核戦力を誇示し、ウクライナへの支援を続ける欧米側を強くけん制しました。

そして、ヨーロッパで、フィンランドに続きスウェーデンもNATO=北大西洋条約機構への加盟が決まったことに関連し「脅威を無力化する」としてロシア西部での軍事力を強化する考えを明らかにしました。

一方、プーチン大統領は、ロシアはアメリカと戦略的安定の分野で対話する用意はあるもののまずはアメリカが姿勢を改めるべきだとして米ロ関係にも言及したほか「安定した世界秩序は強いロシアなしでは不可能だ」とも述べ国際社会の安定にはロシアの存在は欠かせないと強調しました。

プーチン大統領は、3月15日から大統領選挙が行われるのを前にウクライナへの軍事侵攻も含めてみずからの実績だと強調することでさらなる長期政権に向けて政権基盤を固めたいねらいとみられます。

ロシア ショイグ国防相 “兵器など製造能力が高まっている”

ロシアのショイグ国防相は28日、首都モスクワの南にある軍需産業の都市トゥーラで兵器工場を視察しました。

国防省の発表によりますと、ショイグ国防相は工場側から、砲弾の種類によっては製造量が以前より4倍から7倍にも増加したなどと説明を受けました。

これに対し、ショイグ国防相は兵器などの製造の期間が短縮されていると評価したということで、国内での兵器や弾薬の製造能力が高まっていることをアピールしました。

ウクライナへの侵攻が長期化する中、ロシアは2024年の国防費の予算を前年に比べて2倍近くに増やしていて、軍事産業の活性化を図っています。

モルドバで新たな火種として懸念される動き

一方、ウクライナの隣にあるモルドバでは、親ロシア派の組織から新たな火種として懸念される動きが出ています。

モルドバ東部の沿ドニエストル地方を実効支配する親ロシア派の組織は28日、「モルドバ政府からの圧力が高まっている。住民を保護するための措置を求める」などと主張し、ロシアに支援を要請しました。

沿ドニエストル地方は1990年にモルドバからの分離独立を一方的に宣言した地域で、およそ20万人のロシア系住民がいるとされ、ロシア軍が駐留しています。

親ロシア派組織の要請を受けてロシア外務省は「同胞の利益を守ることは常に優先課題の一つだ」とする声明を発表しました。

これに対し、分離独立を認めない立場のモルドバ政府の報道官は「沿ドニエストル地方で緊張など高まっていない。プロパガンダにすぎない」と親ロシア派の主張を否定しました。

モルドバのサンドゥ政権は欧米寄りの姿勢を強め、EU=ヨーロッパ連合への加盟も目指しているだけに、プーチン政権による介入の動きを警戒しています。