ウエルシアHDとツルハHD 経営統合へ協議開始合意 イオンが発表

流通大手のイオンは、子会社のドラッグストア最大手「ウエルシアホールディングス」と「ツルハホールディングス」の経営統合に向けて協議を開始することで3社が合意したと発表しました。国内の売り上げで業界トップと2位の大型の経営統合となります。

発表によりますと、イオンは、子会社のウエルシアホールディングスと札幌市に本社があるツルハホールディングスの経営統合に向けて協議を開始することで、3社で合意しました。

ツルハの傘下にウエルシアを置く形で経営統合し、統合にあたってイオンは、現在、およそ13%を保有するツルハの株式を香港の投資ファンドから追加で取得するなどして子会社化する方針です。

3社は2027年末までに、最終的な契約を結ぶことを目指すとしています。

実現すれば、国内の売り上げで業界トップと2位の大型の経営統合となります。

3社は、各社の持つ経営資源を最大限に活用して、日本最大のドラッグストア連合体をつくり、国内事業の強化だけでなく海外展開を進めていくとしています。

経営統合のねらいとは

流通大手のイオンがドラッグストアの経営統合を進める背景には、国内外で競争力を高めるねらいがあります。

国内のドラッグストア業界では人口減少に加えて、コンビニやスーパーとの競争も激しさを増す中、経営統合による経営の効率化を進める方針です。

商品開発の強化や採算の確保が難しい調剤薬局の事業の維持、それに決済やネット通販といったサービスの充実を図りたいとしています。

さらに、商品の仕入れや物流などを効率化するねらいもあります。

一方、アジアを中心に海外事業の強化も進める方針です。

現在は、両社ともに少数の店舗にとどまっている海外市場で、新規の出店の拡大を目指します。

経営統合する2社とは

ドラッグストア業界ではこれまでも業界再編が続いていました。

ウエルシアとツルハはそれぞれ積極的な買収によって事業規模を拡大し、直近1年間の売り上げをみると、ウエルシアは業界1位となる1兆1442億円、ツルハは業界2位の9700億円となっています。

両社を合わせると、売り上げ10位までの合計に対し、3割余りを占めることになります。

ドラッグストア業界では、2021年にマツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合し、店舗数は3400店舗と業界トップとなっていますが、ウエルシアはおよそ2800店舗、ツルハはおよそ2600店舗で、両社を合わせると店舗数でも業界トップとなります。

ドラッグストア業界をめぐっては好調な医薬品の販売やインバウンド需要などを背景に各社が出店を強化し、スーパーやコンビニも含めた競争が激しさを増していることから、今回の経営統合は、次の業界再編につながる可能性もあります。

イオン 吉田社長「健康社会をリードする企業になる」

記者会見でイオンの吉田昭夫社長は「少子高齢化による健康サービスのニーズがさらに高まっていく中、既存の枠組みの成長にとどまらず、新たな事業を作ることで健康社会をリードする企業になるという大きな志、ビジョンに3社が共鳴した。スケールメリットの獲得や介護ヘルスケア領域への進出などにより、企業としての競争力を得るだけでなく、健康に関わる社会課題の解決にこれまで以上に貢献できると考えている」と述べました。

ウエルシアHD 松本社長「大きな可能性を感じている」

記者会見でウエルシアホールディングスの松本忠久社長は「両社それぞれの強みである人材をはじめとした経営資源の厚みを最大の武器にして成長と効率化を図っていきたい。規模に加え、大きな変革を推進して得られる2社のシナジー効果には大きな可能性を感じている。真の国内ナンバーワン、そして、アジアナンバーワン企業を目指し、企業価値の向上に努めたい」と述べました。

ツルハHD 鶴羽社長「アジアナンバーワンのグローバル企業に」

記者会見でツルハホールディングスの鶴羽順社長は「将来を見据え、今後の大きな外部環境変化にいち早く適応し、当社の長期ビジョンを達成するさまざまな検討を行った結果、ウエルシアとの経営統合が最善の道であるという結論に達した。中長期的に売り上げ規模3兆円をターゲットとし、アジアナンバーワンのグローバル企業へと成長を目指したい」と述べました。